簡単にとびら開いた

本当は一番初めの記事の次にこれを投稿しているつもりが、持ち前のうだうだ根性(筆者注:うだうだと余計なことを考えてしまう癖のこと)のせいで結局書き上げることができないまま、下書きでずっと眠らせてしまっていた。人生とはとかくそういうものだ。なかなか思う通りにゆかない。思い通りにゆくときはたいていお金を出したか、騙されているか、一時の気の迷いかだ。そういうふうにできているのだ。だってばよ。

 

ちまちまラジオの内容をまとめるだけという生産性のないブログを作成するに至るにはやはり理由があって、まあその理由というのはシンプルに「NEWSが好きだから」ということに帰結するのだが、なぜ「NEWSが好きだから」に至る運びとなったのかを記録として残しておこうと思う。というかそもそもの目的としてそういう私的なことを自己満足に記録しようとこのブログを立ち上げたつもりだったのだが、ラジオのまとめに精を出しすぎて本来の目的が埋まってしまった。まさに人生である。

 

わたしがNEWSのファン(ファンと名乗れるほどのものでは実際なく、「ふと気づいたらNEWSに惹かれていたけれどもその感情と、知識と経験とのあいだに絶対的な乖離が生じているので、本当はなんと名乗ればよいかわからないけどとりあえずファンと称しておこう」レベルでしかない身だけれど、便宜上その略としてファンと表現しておく)になったのはつい最近のことだ。

もともとドラマやバラエティなどの番組はまったく見ない聞かないさわらない、テレビのリモコンを持つときはアニメを見るときだけといういわゆる「アニオタ」だった。録画予約はアニメでいっぱい、PCを起動すれば動画サイトでアニメ、部屋中に漫画があふれ、壁は一面アニメのポスターとタペストリーで埋まり、多くの乙女ゲームが積まれている。さらに特定のダンサーのファンをしながらのミュージカルオタクでもあったため、休日平日問わず観劇に行く。アニオタミュオタ活動で心は満たされ、口座は常に奇跡の2桁をキープという清く正しく美しい生活だ。そんな生活をずっと続けていたし、そんな生活にずっと満足していた。

さらに言えば昔からジャニーズなどのアイドルや芸能人にはとんと興味をもてず、数々の噂から「ジャニオタ=怖い・非常識」というステレオタイプ的な偏見を抱いていたせいで、そちらの世界に足を踏み入れることは生涯ないと信じていた。正直なところ嵐の5人すらも顔と名前が一致しないという有り様で(日本人としてありえない、と知人に叱られた)、今後もジャニーズは自分の興味とは縁遠い世界であるはずだった。

 

今年初めに放送していた月9ドラマ「失恋ショコラティエ」。ドラマに毛ほどの縁もなかったわたしがここ最近で唯一見た連続ドラマである。きっかけは撮影に知っている場所が使われているという情報を得たことだった。知っている場所がドラマに映るなんてめったにあることではないし、せっかくだから見てみようと軽率な気持ちで録画した第3話。

ドラマの内容そのものには興味がなかったので目当てのシーンまでスキップし、その数分だけを視聴した。おお、映ってる、ほんとに使われてるんだ。ちょっと誇らしいような、くすぐったい気持ちになりながらその場面だけを何回か繰り返し再生した。その後すぐに停止はせず、面倒くさがりに任せて自動的に再生が終了するまで録画を流したまま、スマホをいじっていた。

ふと気づけばエンディングっぽい曲が流れ始めていて、改めて画面を見るときれいな女優さんが真剣な表情をしているのが目に入った。流れるエンドロールにドラマの終わりを知る。そのままなんとなく見続けていると男の人の足が映った。だれだろう。ドアが開く。踏み出す。男の人の顔が映る。

かっこいい。

すごくかっこいい。

衝撃的にかっこいい。

だれだこの人はとふるえる指でスマホを操作し、ツイッターで呟いた。

ショコラティエの黒いジャケット着てる人だれ?かっこいい」

すぐに友人からリプライが届く。

「NEWSの加藤だよw」

NEWS?NEWSって?あっグループ名か!ジャニーズか!

「NEWSの加藤さんね!覚えた!」

いまにして思えばこいつふざけてんなって感じである。ふざけてなどいない。徹頭徹尾真剣だ。真剣にその瞬間、衝撃をもって「NEWSの加藤さん」を生まれて初めて認識したのだ。ふざけてなんかないけどふざけてるように思われても仕方ないくらいのふざけ具合である。いやふざけてないけど。

 

「NEWSの加藤さん」を認識したことが「NEWS」というグループと出会う間接的なきっかけとなったことは間違いない。その後、別のツイッターアカウントでショコラティエのあの人かっこいいと年甲斐もなくはしゃいでいたら、あるアニメをきっかけに知り合ったフォロワーさん(のちに彼女が小山さん担のNEWSファンだと知る)からリプライが届いた。

チラリズムを聴きなさい」

まさに天啓だった。わたしは天の声に導かれるようにしてチラリズムの動画を見た。

 

わずか3分程度の短いパフォーマンス。

その3分ですべての方向性が決まった。

 

失恋ショコラティエ」で「NEWSの加藤さん」と出会ったときと同様、「チラリズム」で「コヤシゲ」と出会ったわたしは転がるようにして…否、床が抜け落ちるようにして「NEWS」というグループそのものに一直線に惹かれていった。ちょうど「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で選手の方が床下に吸い込まれていくように、わたしの足元の床は気づけば消えていた。なんということだ。これを罠と言わずなんと言おう。罠である。

 まんまと罠にかかったあとはネットや雑誌など各種メディア、それからチラリズムを勧めてくださった女神(ファン歴10年になるそうだ)からのご教授を介していろんな時代のNEWSを勉強してきた。知れば知るほど知りたくなる、知っても知ってもわからない。どれだけCDを聴いて、DVDを観て、記事を読んでも、「もういいや」となることはない。奥が深くて見えなくて、でも視界に広がっているのは真っ暗な空間ではなかった。それがとても魅力的に思えたし、知ってもわからないその先を知りたいと思わせられたことがいまにつながっている。

もちろん現在も鋭意勉強中だし、これからも勉強の日々は続くだろう。そのことを幸せだと心から思うし、あのとき軽率な気持ちでドラマを録画した自分自身に感謝したい気持ちでいっぱいだし、なにより加藤シゲアキがこの世に存在してくださっていることに至上の喜びを感じている。

 

「アニオタ・ミュオタにまさかのジャニオタが追加されたら口座はいったいどーなっちゃうの!?次回、『預金、死す!!』」なことになってしまったのは想定外だったけれど、人生とは想定外の連続だ。思い通りに(貯金が)ゆくわけがなかったのだ。そ、そういうふうにできているんだってばよ。

 

かくて預金額と引き換えに幸福な生活を手に入れたわけだが、そんなふわふわ状態でさえも人間は考えることをやめない生き物だ。NEWSについて勉強していく中で感じたことや考えたことはまた別の機会があれば記録したいと思う。