ここから始まる読書 ~秋~

『やべー…(低音)』

 

2014年9月7日放送●SORASHIGE BOOK

 

・オープニング

「にゅ~~~す(やたら伸ばす)の加藤シゲアキです」

この前紹介した『かにみそ』の反響から。

〈夜分遅くにすみません(「いつも夜分ですけどね(笑)」)。『かにみそ』読みました。『ピンクとグレー』のオニアンコウの話と似た部分もあっておもしろかったです〉

他にも本を紹介してほしいという趣旨のおたよりをいただくけど、自分もそんなにたくさん読んでる方じゃない。本は映画よりもルールが自由で、なにをもっておもしろいとするかが迷いどころと言いつつ、「本を読みたがってる人にまずは『SPA!』の連載、『アンドレス』を」としっかり宣伝する部長。「『ア↑ンドレス』って発音が人の名前…ゴンザレスみたいになっちゃう(笑) 正しくはアン↓ドレス(区切り的にはアン・ドレス)」

さらに9月12日には「野性時代」で読み切りの『染色』が掲載される。

「『ア↑ンドレス』…『アン↓ドレス』は!タイトル自分で付けときながらわかんなくなっちゃう(笑) 脱サラした大西という男の話。群像劇ではなけど、『実は…!!』って感じ。うまく説明できませんが…脱サラして気づく真相みたいな」

自分の作品をネタバレせずに説明する難しさに唸りながら連載の紹介。エンタメ度の高い作品なので本を読んでない人でも楽しめる。6週(1週の休載を挟む)で完結の予定。

「『アン↓ドレス』が30分ぐらいの連続ドラマ×5週なら『染色』が映画」一人の美大生と女性との奇妙な出会いのお話。今回の短編はどっちもダークだけどこっちの方がけっこう…らしい。「『過激な性描写』って編集長がハードル上げた」けれど、部長的にはそこまでじゃないとか。

どちらも「おもしろいと思う!読書の秋ですから!」と自信たっぷりにおすすめ。

 

・音楽部

OKAMOTO'Sの5.5枚目のアルバム「VXV」より「Wanna?」

オールドスクール的なパーティーチューン。アルバム1曲目ということで、「ああ~そういう感じになるんだってガツンときた」。夏休み終わったけどテンション上げようという部長の心遣い(?)。

 

・おたより

「シゲのぶかっつ!先に本の話しようかな」

〈読書大好きだけど洋書はあまり読んだことがないので洋書のおすすめ教えて!〉

「洋書と邦書?とは言わないよね…(筆者注:よく使われるのは和書だけど邦書も誤用ではない)は、まーったく違う」

部長の中では海外文学と指されるものは村上春樹さんが訳したもの、というより村上春樹さん自身が海外文学というイメージ。洋書で一番好きなのは『キャッチ・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)』なのでこれをおすすめするけれど、他にも『夏への扉』などもおすすめ。最近は短編を書いてることもあって短編小説を読むのが習慣になってる。

洋書の場合は翻訳が重要で、よく「翻訳には賞味期限がある」と言われるらしい。中でも村上春樹さんの翻訳は読みやすい。最近はレイモンド・カーヴァーの作品を村上春樹さんが選んだ『Carver's Dozen』を読んでる。

 

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

 

 「エンタメじゃないから『ここがおもしろい!』ということじゃないけど、読後感や奇妙な世界観、悲哀感とかが読んでておもしろい。読みやすいし入り口には良い」

また、同時進行でトム・ジョーンズ(「歌手じゃなくてね」)の本も読んでいるそう(「トム・ジョーンズどんだけいるんだよ(笑)」)。日本ではあまり有名になっていないけれどレイモンド・カーヴァーの再来と言われてるとか。彼の来歴はとてもセンセーショナルで、1945年ごろアマチュアボクサーとして活躍したのち海兵隊に入るも癇癪持ちのためベトナム戦争には行かず、アイオワ大学に入学。その後コピーライターとなり、用務員を経て作家としてデビューする。

5年前に出版された『拳闘士の休息(岸本佐知子訳)』を読んでる。なぜこの作品を選んだかというと、舞城大太郎さんにはまったことがきっかけ。文体がとても変わっていて、第二の村上春樹と呼ばれるほどセンセーショナルな登場だった舞城大太郎さん。その人の文体に影響を与えたのがトム・ジョーンズだそう。ちなみに舞城さんはジョジョのノベライズも担当していた。

その舞城さんがトム・ジョーンズの翻訳をし、読もうと思って忘れていたところ短編が出たのでこの際ちゃんと読もうということで5年前の『拳闘士の休息』から読んでいるとのこと。「岸本佐知子さんの翻訳は的確で読みやすい。『居心地の悪い部屋』もおもしろかった」

そんなわけでレイモンド・カーヴァートム・ジョーンズを同時進行で読んでいる読書の秋な部長。ベトナム戦争の話などもあるので女性は好きじゃないのかなーと言いつつ、しっかりおすすめしてくれた。

 

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

 

 「やべっこれだけで時間が…ここから釣りの話しようと思ってたのに」タイムオーバーだったのでちょっとだけ釣りの話。

〈NEWSRING読みました。シイラは回遊魚ですか?〉

「回遊魚というか、水温が高いところに流れていく。いる場所が激しく回ってるわけじゃない」けれど、170cmほどのシイラを釣るというミラクルが起きた。まぐろより大きく、相模湾のレコードらしい。おめでとうございます。

 

語りまくった結果、気づけばエンディングを迎えていたときの部長のお言葉「やべー…(低音)」…完。

 

○主観

連載と短編まであと少し…日々是そわそわ。別に「過激な性描写」とやらにそわそわしてるんじゃなくてね。別にそういうんじゃないけどね。そういうんじゃないけど。

『かにみそ』とか今回紹介されてたのとか、卒論にとりあえずひと段落ついたら合わせて読もうかな。小説って肌に合わなくてあんまり読んでこなかったけど(学術書とかの方が好き)これを機に読書の秋しよう。

 

そういえば今日…日付変わったから昨日だけど、は、10周年記念公演からちょうど1年なんだなーって、行ってもないのになにやら感慨深い気持ちになった。もっと早くNEWSさんたちと出会っていたら思うこと感じることもまたちがったんだろうなって、当たり前のことだけど。ちょっとせつない。