佳き日に寄せて

失恋ショコラティエ』で加藤シゲアキと出会い(この事実をさらけ出すたびに「ショコラティエ出の新規がしゃしゃりでてくんな」って諸先輩方に思われてんだろーなって思う自意識を働かさずにはいられない)、『チラリズム』でコヤシゲと出会い、ひいてはNEWSと出会ったことは過去記事で書いた。

その後わたしが手をつけたメディア情報が『走魂』だった。当時は「NEWSに興味ある」程度の知識量しか有していなかったため、はずかしながらNEWSは始めから現メンバーである4人で構成されていると思い込んでおり(だって走魂出てるの4人だし)、その後実は6人だった、実は7人、いや8人、なんと9人だった、と驚愕の新事実(for me)を知るたびに動揺したものだった。

とにもかくにも『走魂』での4人の関係性に惹かれ、いろいろと調べていくうちに、NEWSというグループの歩んできた歴史があまりにも、あんまりにもあんまりだという現実にぶち当たった。激動の、という表現ですら生ぬるく感じられるほど、そこには生きた蛇を引き裂いたかのような衝撃があった。もちろん生きた蛇を引き裂いたことはいまだかつてないけれど、簡単にひとつの言葉には収まらない、収めてはいけないほどの過去があったのだと、軽率だった自分を恥じた。

それでも好きなひとやものやことのことはなんでも知りたいし、なんでも知らなければならないという信条のもと、ひたすら勉強を続けた。雑誌のバックナンバーを集め、リリースされたCDを集め、コンサートDVDを集め、NEWSファンの先輩に情報を求めた。その中で、最後まで手をつけることができなかったものがあった。

 

『NEWS LIVE TOUR 2012 ~美しい恋にするよ~』のDVDだった。

 

最初に見たDVDは東京ドームでの10周年記念公演のもので、そこから遡るようにしてDVDを集めてきたのだが、この美恋魂だけはついぞ買う機会を逃していた。というのも、美恋魂初回盤は目ん玉が飛び出るほどのプレ値がついていて、初回盤収集厨のわたしにとって高い壁となっていたからだった。わたしは悩みに悩んだ末、初回盤の回収はいったん諦めて、通常盤を買うことにした。DVD化されたコンサートは美恋魂以外すべて観たのだから、初回盤の特典映像も気になるけれどとりあえず本編映像だけでも観てしまおうと考えた。

そのときにはもう、NEWSがたどってきた軌跡をある程度理解していた、つもりでいた、ので、「4人になって初めてのコンサート」がもつ性質や価値を想像できていた、つもりでいた。

 

冒頭の『チャンカパーナ』、『NEWSニッポン』。『Share』で、挨拶で涙を流すメンバー。フルスイング。

 

メンバーとファンの表情を、涙を見て、NEWSと出会ってから何度目になるかわからない衝撃を受けた。わたしはなにひとつわかっていなかった。

知識として知っていることと、経験として知っていることは天と地ほど違う。

わたしがいくら彼らについて「勉強」して、「知識」を得て、「歴史」を辿ったつもりになっても、それは永遠に実体のないものでしかなく、その「実体」をもてない限りNEWSのファンには永遠になれないと思った。どんなに「好きだ」と主張してもその「好き」はなんの共有ももたない空虚な「好き」でしかなかった。自分の気持ちと現実がつりあわないことはひどく苦痛だった。

なにかやだれかを途中から好きになることはままあることで、なにも悪いことではないけれど、こと「NEWS」というアイドルグループに関しては(語弊を恐れずに言うと)当てはまらないのではないか、と、個人的には思う。もっと早くに出会えていたら。10年前と言わずとも、せめてもう数年。そうしたらこの気持ちを共有できたのに。やるせない思いは常に自分の中にあった。共有がなければファンじゃない、とは言いたくないけれど、ほかのふるくからのファンの方々が抱えた思いやメンバーの発言を見聞きするたび、「自分なんて」と、そんな気持ちになった。

 

美恋魂の映像を二度目に観たとき、『フルスイング』ではからずも泣いた。それはどんなに理解した気になっても理解しきれないことへの悲しみだったし、それでもNEWSという存在がこの世に存在し続けて、出会えたことへの嬉しさでもあった。

過去をたんなる過去として置いておけないのがNEWSの最大の魅力のひとつだと思うけれど、同時に、せっかく与えてもらった未来を共有できる機会を大切にしないなんてないとも思う。そうできることがなにより幸せだと思う。だからわたしはただただ謙虚な姿勢でその機会を抱えていたい。

あとにもさきにも、まだまだ知らないことはたくさんある。とりあえずいまは、「おめでとう」と手放しに賛辞を贈るよりも、存在してくれていることへの純粋な感謝の気持ちでいっぱいにしたい気持ちでいっぱいだ。

 

11周年 ありがとう。

…ちょっと遅れちゃったけど。