確かに恋(夢)

『恋愛小説って何?』

 

2014年11月2日放送●SORASHIGE BOOK

 

・オープニング

『アンドレス』も無事終わり、来週発売の『ダ・ヴィンチ』での新しい短編小説の掲載控えた今回の放送。

〈初連載お疲れさまでした。次回作の主人公は部長なんですか?『(仮)』って?『SPA!』を勇気出して買った女性読者たちを褒めてください〉

男の人でも買いづらい雑誌かもしれない『SPA!』。掲載記事にいやらしい部分もあったりしたせいか、「この羞恥プレイはなんだ!」という趣旨のおたよりが他にもたくさん届いていたとか(笑) 部長としては、これまで手に取る機会のなかった方にあえて手に取ってほしいという思いで企画を受けた部分もあるそう。「読んでくれた男性の方もいるのかなー?」

ダ・ヴィンチ』に掲載予定の『恋愛小説(仮)』(正式タイトル)に関しては「ゲームの(タイトルの)真似ですか?」といったおたよりも(「僕知らなかった」)。『ダ・ヴィンチ』の特集号が「男の恋愛」だったのでそれをテーマに書いてくださいと言われた。「ほんとに、恋愛小説って何?みたいな(笑) え~恋愛小説ってちょっと困るな~なんて」

もともと恋愛小説自体読むのも書くのも好んでいたジャンルではないため戸惑ったそう。言ってしまえば部長の話で、本編の冒頭も企画書がまんま載っている。そこからどうやって書いていくかと思いきや、少しファンタジーな展開になる方向。『アンドレス』が「脱」、『染色』が「染」をキーワードとするなら『恋愛小説(仮)』は「夢」「眠り」(「まあ夢だな」)がキーワードとなっており、フューチャーされている。今回は新しい、リアリティのない一人称で書かれており、感情を直で書いていく部分も多かったため難しかったけれど、直しも入れて最終的には納得のいく作品になった。それこそすごく読みやすいのでぜひ手に取ってほしいとアピール。「『ダ・ヴィンチ』は好きな雑誌なので嬉しいですほんとに。書いてばっかりですけど(笑)」

 

・音楽部

きのこ帝国「クロノスタシス

クロノスタシスとは、「サッカードと呼ばれる速い眼球運動の直後に目にした最初の映像が長く続いて見えるという錯覚」のこと(出典:Wikipedia)。

「自分で重ねるのも変だけど『ピンクとグレー』のファレノプシスを連想した。あの子たちが歌ってたのはきっとこういう歌なんだろうな~書いてるの僕だからあれなんですけど(笑)」

 

・おたより

「『アン↑ドレス』…『アン↓ドレス』(笑) 結局まだわかんなくなってる(笑)」そんな『アン↓ドレス』の話。

〈『アンドレス』全部読みました。各回の落としどころは決めてた?〉

「5回って決まってた」初め、「何回にします?」と聞かれ「5~6回かな、4回だと足りない」と答えた部長。「実はこうだった」系の話なので裏をしっかり作って、この回はここまでやりたい、とプロットもがっちり決めていたそう。登場人物が短編のわりには多いため、最初は大西、大西の脱サラ後の1日、リサと石田、小金井と、周りの人間を追っていく構成に。最後の一文は書きながら考えた。そろそろ終わるなーって思ったときにちょうど3ページ分となって、多少前後しても編集の方がうまくレイアウトしてくれた。「みなさんのおかげでやれた作品」

〈アンドレス読みました。後味悪かった(「すいません(笑)」)。衝撃的なひどい結末(「すいません(笑)」)。ショックが大きかっただけに考えさせられた。大西サイテー。読み終えたあと正直読まなければよかったと思った(「すいません(笑)」)。30にもならない人が書いてるのが怖い〉

最初に「サラリーマン」というお題があって、どうする?と。全員ちょっといやなやつにしたかったと言う部長。仕事ができる人が良い人とは限らない。特に営業の人は胡麻をする、外面が良い、頭が切れるといった部分もあるだろうから、そういうのが一方で鼻につくこともよくあること。「着る」がテーマだったのでそのあたりもわりと意識して書いていて、登場人物についてもなにか露骨に「悪」がある、「なんかイヤ・キライ」な人たちにしたかった。「好きな人と一緒になりたいがために嫌いな人とつきあうなんて考えられない」といったおたよりも多く、「リスナーのみんなはすごいちゃんとした方だなって(笑) モラル的なことではそうなんだけど」

好きな人のためならなんでもやる、みたいな優先順位の駆け引きや、「実は裏切り者だった」系の話が書きたかった。やりたいものをお試しさせてもらった部分もある。「いや~終わっちゃったか~ってね…ふふ(笑)」

〈エンジェルナンバーはどこで知ったの?〉

友人がやっていた舞台を観たときに知った。4時44分などは縁起が悪そうに見えるけど実は天使からのメッセージだったりするとか。リサは占い好き、スピリチュアルっぽい(「スピ子って言うらしいよ」)、ある意味ポジティブであると同時に、見えないものを信じすぎるちょっと怖い女の子にしたかった。「でも1回(ネタ)使っちゃうとこういうのもう使えないっていうね、次から次へと考えなきゃいけない(笑)」

 

『アンドレス』についてひとしきり語ったので「違う話をしていこうかな(りりしい声)」。

11月12日発売の『野性時代』で作家の窪美澄さん(『閃光スクランブル』で帯を書いてもらったんですけど」)と対談させてもらった。いままで何人かの作家さんにお会いしたりインタビューしたりなどはあったけど対談は初めてだとか。11月14日発売の窪さんの新刊『水やりやいつも深夜だけど』を発売に先立って読んだけれどおもしろかった。「本を読んで泣いたのは初めて」

結婚・家族がテーマのなんてことない家族を描いた作品で、「ちょうおもしろい!」というよりも「つらい、大変」と思った。部長も『Burn.』で家族について見つめたりしていたけれど、結婚は一見ゴールとなってしまいがちだけど実はスタートのスタートでしかない対談では話していたそうで、「教科書に載せるべきだ!でもそうしたらだれも結婚したくなくなっちゃう」という話で盛り上がった。

件の小説は「何気ない日常の苦み」を描いていて、性描写が少なく大衆小説を意識した作品だとか。「僕みたいな新参者と対等に話してくれて本当にありがたい」

ここであんまり対談の内容を話してしまうと読む意味がなくなってしまうので、ぜひ対談の方も読んでほしいとのこと。

「今日は作家の話が多かったですね」と言う通り、小説のことがたくさん聞けた回だった。

 

○主観

確かに『SPA!』を買うのは羞恥プレイだったよねっていう。でもその羞恥プレイを5週に渡ってこなしたことで鍛えられたからもう今後どんな雑誌で連載が来ても動じないよね。すごいぞ!(?)

『恋愛小説(仮)』もすごく楽しみ。部長の作品で一番恋愛らしかったのって『閃光スクランブル』だと思うけど(『染色』は個人的には恋愛小説に分類できない)、どう違ってくるのかなー。

関係ないけど今日の「おやすみ」の言い方がすごいツボでひとり心の中ででギャンギャンしてた。