弟子と教師のドラスティック攻防

『なんかたーべよっ』

 

2015年5月10日放送●SORASHIGE BOOK

 

・オープニング

〈ランチメニューのあるカフェに行ったとき、定番メニューにするか本日のランチメニューにするか迷います。部長はランチメニューで迷ったりしませんか?〉

「いいですね~この、どーでもいい内容のメール、とてもいいです(笑)」部長は地方や遠出したときなどではない、二度行く可能性があるときは基本的に定番メニューを選び、それでおいしかったら次に違うものに挑戦したりするそう。よくラーメン屋など食券の店では左上のものを食べろと言われるように、ぞの店の雰囲気などもわかるので打ち出している看板を選んだ方が無難かなと思う。地方でも基本は定番メニューを食べると思うけれど、よっぽど食べたい、その本日のメニューが目に刺さったときは「本日」系を選ぶでしょうとのこと。ちなみに部長はメニュー選ぶのはわりと早く、そんなに迷わないそう。

メニューで思い出したけれど、映画『シェフ』も、人気メニューを出せと言うオーナーと特別メニューに変えたい雇われ店主とのシーンから始まるが、どちらの言い分もわかる。余談だが『シェフ』はただただ楽しい、「あー楽しかった、おなかすいたなんかたーべよっ」と思えるような映画なのでデートで行くなら良い映画。「きっと今週も映画の話すんのかなー」

 

・音楽部

イギー・アゼリヤ「Trouble」

いろんな人をdisりdisられ闘って喧嘩しているイギー・アゼリヤさんを見て部長の感想「にぎやかにやってるなーっていう」

「おれらしくない」と言いながらもたまには流行りのものをかけてみる部長なのだった。

 

・おたより

まずは以前の放送に関するおたよりから。

〈4月12日の放送を聴いてびっくりしたのですが、NEWSのライブには専門の演出家がいるのですか?〉

演出家という言い方が少し違ったかもしれない。基本的にライブはほぼほぼ自分たちの意見を言い合って作っていて、リハーサルより打ち合わせの時間の方が長いくらい。演出家というのは一緒にやってくれる振付師さんのことで、Jr.もいるし全部の振付を自分たちで作るわけにはいかないので、そういったところを見てくれて判断してくれる。当然と言えば当然だけれど、矢沢永吉も言うように自分たちのライブは自分では観られないので、いくら映像で観てもちゃんとしたニュアンスや雰囲気は変わってしまう。それをチェックする、イニシアチブをとってくれる人のことを言っていた。もちろん嵐など他のグループのコンサートにもそういう人はいて、嵐は松本潤くんが作っていたりするけれど自分たちはセトリも含め全員でまとめていっている。若いときはもう少し演出家頼りだったこともあったけどここ数年はそうしているとのこと。「少し誤解があったみたいなので一応訂正させていただきました」

 

メールは来ていなかったけれど先週しゃべると言ったので映画『セッション』の話。

アンドリューというジャズドラマーを目指す17歳の青年がアメリカ最高峰の音楽学校に進学、通うところから物語が始まり、そこに恋なども絡んでくるというお話。その学校にはフレッチャーという教師がいて最高の指揮者として存在しているのだが、このフレッチャー、「ハイパードS」で、完全なるハラスメント教師。アンドリューは彼に見初められスカウトされて、弟子と教師、生徒と教師の狂気的、猟奇的な関係が描かれている。予告編でも映っているけれどフレッチャーがアンドリューに「1234」と数えさせて4のところでビンタをして、そのビンタが速いか遅いか?と問う場面もある。部長は「自分だったらやだなー」と思いながら観ていたけれど、そういえばJr.のときこういうこと何回もあった(「殴られてはいませんよ!手は出されてませんが!」)なあと、共感まではいかないまでも「この感じ体験したことあるな~」という感じだったそう。映画のふたりは奇妙な関係のまま話は進んでいく。

フレッチャー役のJ・K・シモンズが本当に怖い!アンドリュー役のマイルズ・テラーはもともとドラムが好きで15歳くらいから習っていたんだとか。ジャズ界では問題作で、映画評論を見ても賛否が分かれる作品。部長自身は終わったあとカタルシスを感じたりしたけれど、ただジャズ的ではないのかなと思った。実際、ジャズをやっている人にとって映画の音楽学校は「中の下」だと言われているけれど、フィクション的には最高峰ということで描かれている。原題は「Whiplash」で「鞭の先」という意味なので、まさに教鞭/鞭に掛けているのかなと想像することができる。

監督と脚本を務めるデイミアン・チャゼルは30歳と非常に若く、28歳のときこの脚本を書いたとのこと。最初はなかなか出資者がおらず、「ブラックリスト」という脚本会のようなところで見つけてもらい資金を集めた。最初からお金があってやった作品ではなく、かなり低予算な感じになっている。その後サンダンス映画祭でフィクション短編部門の最優秀賞をまず受賞して出資を募ったので、まずは8分くらいの短編を作ってから長編にしたということになる。翌年の同映画祭では観客賞とグランプリを獲得。本作はデイミアン・チャゼルの実体験がもとになっていて、実際に彼も厳格な教師の指導のもとでジャズドラムを習っていたんだとか。そこで厳しい指導が実際にその才能を開花させるのかということに疑問をもち、彼自身は厳しさが才能という種に水を与えることにはならないというスタンスのように感じた。「憎しみみたいな部分で作ってるような話だなっていう印象を受けました」

アンドリューもフレッチャーもお互いネチネチネチネチしていて、部長いわく「どっちもクソ野郎(笑)」だとか。共感というよりも「うわ~こいつほんとやなやつだな~」と思っているので、ふたりの攻防を見ると半分は「やっちゃえ!」という気持ち、もう半分は「かわいそう…」という気持ちになり、その複雑な感覚が映画体験としておもしろかった。ジャズ的には速く叩けば良いということではなく、速く叩くことは技術のひとつだけれどだからといってそれが上手いことになるかは微妙なところ。ラスト9分のシークエンスでは感動というよりも「いけ!!」という気持ちになる。ジャズ的かと言われるとよくわからないしとても難しいところなので、ジャズが好きな人がどう思うのか気になる。音楽映画としてけっこう楽しかったと思う。「きたー!やったー!いけー!」という気持ちになるし、終わったあともすぐには立てなくなったそう。映画好きの人にはぜひ観てほしい。

もうひとつ映画の話をすると『インヒアレント・ヴァイス』という映画で、トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』という小説を映画化したもので、部長の大好きなポール・トーマス・アンダーソン監督作品。これもとてもかっこいいのだけれど1回では理解できない。主人公である私立探偵の元カノがある事件に巻き込まれていき真実を探っていく、というお話だけれど壮大で、「どういうこと?」と把握しきれない。単純に画がかっこよすぎる、おしゃれということもあるのでもう1回行こうかなと考えているそう。映画好きの人にはおすすめの、ぜひ観てほしい作品。

 

〈部長の影響で最近映画に興味があるんだけど、高校生のうちに観ておくといいおすすめ映画があったら教えて!〉

部長自身はもとは映画が好きじゃないところからスタートした。高校のときはワンパターン化した話が好きではなく、ドラゴンボールなどの流行りものも嫌いだった十代、未成年時代を過ごしていた。あくまで自分が高校生のときに勧めてほしかったもので言うと、村上春樹も言っていたゴダール作品。クラシックな名作は若いときに一通り観ておく方がいい。若いときでないと巨匠の作品は熱狂的に好きになれなかったりする。自分自身、巨匠たちの作品を観てけばよかったと後悔しているので、「高校生に勧める映画じゃねーだろ」と思うかもしれないがあくまで部長の考えとしてはそういったものをおすすめするとのこと。「リスナーにゴダール勧める加藤どうなのって思う人もいると思うんですけどね」

 

○主観

『セッション』公式サイトで予告編見たら予想以上に怖かった。でも最後の「ラスト9分19秒、映画史が塗り替えられる」っていううたい文句、前もどっか違う映画の予告編で見た気がして、映画史塗り替えペース早いなとちょっと思った。

映画というコンテンツそのものをどうしても好きになれない自分としては最近シゲ部で映画の話になると聞き分けのないようちえんじみたいに拗ねてしまうので、たまには違う話が聞きたい。と思ってしまうわがまま。久々に釣りの話聞きたいなー。