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No one knows the stage.

NEWSに歌ってほしいミュージカルナンバーベスト3

 

以前どこかの記事でちらと書いたような気がしなくもないが、わたしはもともと劇団四季のミュージカルが好きなミュオタ(というより四季オタ)だった。大学1年生の秋、当時横浜で上演されていたミュージカル『キャッツ』の観劇をきっかけに劇団四季ミュージカルにのめり込み、観劇2回目にしてあるダンサーさんを好きになってしまったことでその勢いは坂を転がり落ちる石のようにとどまるところを知らず、加速度的に加速していった。彼の出演する舞台は必ず週に1~2回は観に行き、月に一度は必ず差し入れとファンレターを渡す(受付のおねえさんに「○○さんにお願いします」と言って預けるスタイル)という、ジャニオタ界で言い表すところの「強火」オタにハイスピードメガ進化したのだ。彼のダンスと、彼のダンスがかたちづくる世界と、そして彼のダンスから見える舞台への誠実な姿勢をこころから愛していた。ジャニーズに傾倒し観劇頻度が急激に減ったいまでも、彼のダンスはわたしがもっとも好きな人間の動きだと断言できる。ミュージカルと出会ったことで確実にわたしの世界は広がったし、その出会いには感謝してもしきれない。

個人的な思い出話はさておいて、そんな(元)四季ファンのわたしは最近、NEWSのみなさんに歌ってほしいミュージカルナンバーはなにか、という妄想で暇をつぶすことがよくある。いわゆるイメソン、というよりかは、たとえば小山さんにはこの演目のこういうナンバーが似合うだとか、手越さんの歌声でこのナンバーを聴いてみたいだとか、自分の独断と偏見と欲望を駆使してあれでもないこれでもないと、隙あらば考えているのである。そう、なにを隠そう暇なのである。暇を集めて包んでお手玉ができてしまうくらい暇なのである。好きなものと好きなものをコラボさせるのはただただ楽しい。白米が好きで納豆が好きなら納豆ご飯はもっと好き。納豆ご飯のおいしさをより多くの人に知ってもらいたいという情熱があり、そして暇を持て余しているという事実がある。ならば自分なりのメモも兼ねて記してしまおうと思い至った結果が今回の記事である。実に書いているいまこの瞬間も、わたしの脳内では劇団NEWSが舞台を踏んでいる。

 

(元)四季ファン、とはいえ、観た演目にも偏りがあり、恥ずかしながら一度しか観ていない演目や観たことのない演目、音源を聴いたのみの演目もそれなりにあるので、必然的にわたしの知っている限りの狭い世界、少ない選択肢からの選出となる。バラエティーの貧しさには目を瞑っていただきつつ、自己満足なだけの記事ではあるけれどもこれをきっかけに劇団四季のミュージカルに、そしてミュージカルという世界そのものに、ほんのひとかけらでも興味をもっていただけたりしたら、ひそかにとても嬉しい。記事の最後に各演目の公式動画を載せているので、気になった場合はぜひチェックしていただけたらと思う。

あくまで「歌ってほしい」という非常に主観的な基準で選んでいるため、実際に歌えるかどうか等の客観的要素とはほぼ無関係であり、ゆえに女声ナンバーも含まれていることをご了承いただきたい。万が一不快に感じられる方がいたら申し訳ないが、他意はないことを強調しておく。また、多少なりとも演目内容のネタバレがあることも、あわせて注釈しておきたい。

 

 ***

 

小山慶一郎

第3位:ゲッセマネの園(ジーザス・クライスト=スーパースター

キリスト最後の7日間を描いた名作『ジーザス・クライスト=スーパースター』。「ゲッセマネの園」は第二幕、民衆に神の子と崇められ、救い主とされたジーザス・クライストがその使命に疲れ果て、父なる神に自身の死の意味を痛切に問う、非常に重要かつ物語の盛り上がりを担うナンバーである。

なぜ今 おお なぜ死ぬのか

この死が無駄ではないことを 教えてください おお 神よ

知らせてください そのわけを

示してください その叡智を

「神の子」「救い主」ではなく一人の青年としてジーザスの抱える弱さや苦しみ、悲しみといった負の側面。一度発露した感情はとどまるところを知らず、観客の心に痛いほどに突き刺さる。NEWSのメンバーとして、そしてリーダーとして、苦難を乗り越えてきた小山さんがジーザスの迷いを表現するとき、そこにどれだけのエネルギーが生まれるだろうか?わたしはそれを知りたい。

いいだろう 死のう

見てくれ 死にざま 見てくれ 私の死にざま

最後に叫ばれる悲痛な決意。普段の優しくて甘くてやわらかな、砂糖菓子みたいな雰囲気をまとう小山さんからはまったく想像のつかない、狂気にも満ちた歌と演技を目の当たりにしたい。最後の「死にざま」の歌い方は役者によって千差万別だ。魂をのせたあらん限りのロングトーンなのか、水火の苦しみに掠れ、途切れがちになってしまうのか。わたしは、小山さんのジーザスはきっとどこまでも、最後まで、「人間」なのではないかと思う。

ちなみに劇団四季の『ジーザス・クライスト=スーパースター』はエルサレムバージョンとジャポネスクバージョンのふたつがあり、特に後者は大八車を使った演出や歌舞伎のような隈取が印象的だ。個人的にはジャポネスクバージョンの方がおすすめであるのと、隈取の似合う顔をしている(加藤シゲアキ・談)小山さんなら、ジャポネスクバージョンの方があるいは…?

 

第2位:Hand Me the Wine and the Dice(アスペクツ・オブ・オブ)

非常にニッチな選曲ながら、たとえ太陽が西から昇ることになってもかまわないぐらい、ぜひとも歌ってほしいナンバー。『アスペクツ・オブ・ラブ』は上演頻度も高くないマイナーな演目だが、フランスを舞台に複数の男女が織りなす複雑な恋愛模様を繊細に、ときに大胆に描いた、まるで絵画のような美しい作品。これはジュリエッタという女性彫刻家が物語の終盤、恋人ジョージの葬儀の場で鮮烈に歌い上げる非常に印象的なナンバーだ。

そう 酒とダンスで 開けカーニバル 弔いの音楽を

レクイエムのようなどこか不気味な雰囲気の漂うメロディー、激しく刻まれ変化していくリズム、「葬儀」の場らしからぬダイナミックなダンス、どれを取っても素晴らしく、もの悲しいはずなのに身体の内側から興奮が沸き起こる。喪服をまとい、長い腕と脚で踊り狂いながら妖しい歌詞を力強く歌う小山さんが、観客の意識という意識をからめ取り、奪い去っていく瞬間はきっと一生忘れられないだろう。「ロメオ2015」のパフォーマンスにおいてあますところなく発揮されていた「意識的な演出」と「無意識的な誘惑」は、このナンバーでも必ず生かされると信じている。 

 

第1位:Cool(ウェストサイド物語)

ロミオとジュリエット』の物語をモデルにしつつ、1950年代後半のニューヨーク・ウェストサイドを舞台に、ふたつの若者ギャングの抗争と運命的な愛、それらが引き起こす悲劇を描いた名作中の名作『ウェストサイド物語』。第一幕中盤にある「Cool」はダンスが魅力の見せ場のひとつであり、激昂したジェット団のメンバーをなだめるリーダーのリフがとてもかっこいい。

ボーイ ボーイ のぼせるな

のんびり 気長にかまえようぜ 時を待ってな

曲中のほとんどは激しく踊るダンスナンバーなので歌詞自体は少ないが、その分リフの言葉は重要である。統率力があり、リーダーとして仲間から信頼されているリフ。怒りで暴走しかけるメンバーを、自身の内にも激情を秘めながら制そうとする。わたしは、小山さんの中には指先ひとつで世界を動かせるかのような、誤解を恐れずに言えば絶対君主的な強さと力があると折にふれ感じている。普段はわたあめにくるまれて隠されているその強さと力を、ここで存分に解き放ってほしい。そんな小山さんはきっととても、すごく、尋常でなく、かっこいい。見たい。小山さんの中に隠された圧倒的リーダー力を見せつけられて、そしてぶっ倒れたい。

蛇足だが、NEWSで『ウェストサイド物語』を上演するなら配役は小山さん:リフ・手越さん:アクション・しげさん:Aラブ・増田さん:スノーボーイ、がいいな、と常々夢想している。

 

審査員特別賞:共にいてアルゼンチーナ(エビータ)

アルゼンチンの元大統領ホアン(フアン)・ペロンの妻であり、民衆から女神と讃えられたエバ・ペロンの狂おしい生涯を描いたミュージカル『エビータ』。「聖女か、悪女か。」というキャッチコピーのごとく、彼女の人生は数奇なものであり、栄光を手にしながら儚く散った命の美しさ、激しさには感嘆せざるをえない。第二幕の2曲目、ファーストレディーとなったエビータはカサ・ロサーダのバルコニーから民衆に語りかける。

共にいてアルゼンチーナ

嵐荒ぶ日も 苦しみをいだきあい 分け合った 仲間たち

おそらくこの作品の中でもっとも有名なナンバーではないかと思われるが、その通り美しいメロディーと悲哀に満ちた歌詞が印象的で、じんと心にしみいる。特にこの一節の与える切々とした感情は、小山さんの、どこかせつなさ苦しさのにじむあの歌声で聴いてみたい。「共にいて」と懇願するような歌詞も、「仲間たち」という呼びかけも、間違いなく聴く者の心を揺すぶるだろう。二幕開始早々、涙で舞台が見えなくなること必至だ。

お話しすることはこれだけなの たっとひとつの

そう たったひとつの真心を あなたのもとに

このナンバーはこうして締めくくられる。こんなことを言われたら、もう、我々民草は一生ついていくことしかできない。 

 

手越祐也

第3位:I Got Rhythm(クレイジー・フォー・ユー

ブコメディミュージカルの金字塔といえば『クレイジー・フォー・ユー』ではないだろうか。笑顔と幸せに満ちたストーリーと珠玉のナンバーの数々は観客をハッピーにしてくれること間違いなしだが、中でもこの「I Got Rhythm」は聴いたことのない人はいないのでは、というくらい有名だろう。

このリズム このミュージック この恋 他にはいらない

牧場の雛菊 この恋 他にはいらない

個人的に手越さんの張りのある歌声は非常にミュージカル映えすると思っている。本作の中でも底抜けに明るい、『クレイジー・フォー・ユー』の代名詞とも言えるこのナンバーは、普段のソロではバラードの多い手越さんにこそ歌ってみてほしい。手越さんの「陽」の部分、明るくて、あたたかくて、まっすぐでまぶしい部分を惜しげもなく使って、きらきらと存在ごと輝かせながら笑顔と幸せをいっぱいに振りまく姿が見たい。音楽とともにきらめくそのさまはだれよりもなによりも幸福に満ちているのだろうと、想像するだけで胸の真ん中があたたかくなる気がする。

もめごと気にしない 嬉しさいっぱい

星空 良い夢 この恋 他にはいらない 他にはいらない

手越さんにはいつだって嬉しい気持ちでいっぱいでいてほしい。他にはいらない。

 

第2位:I Feel Pretty(ウェストサイド物語)

プエルトリコ系移民のギャング・シャーク団のリーダーたるベルナルドの妹マリア。「敵」である白人系ギャング・ジェット団のかつてのリーダー、トニーと恋におちた彼女が、愛されることの幸せを無邪気に歌い上げる。シャーク団の女たちはそんな彼女の様子を「気がおかしくなったに違いない」と言うが、幸せ絶頂のマリアは悲劇の中に咲く一輪の花のごとく可憐でかわいらしい。 

見てよ鏡の中を かわいい娘でしょう

素敵でしょう この顔も 微笑みも 綺麗でしょう

心がおどるの 私は愛された とても優しいあの人

360度どこから見ても恋する女の子の歌を手越さんに、と言うのは心苦しさもあるが、恥ずかしげもなく言ってしまえば、祐子ちゃんの格好でキュートに歌ってほしいという欲がある。頼むから。金一封あげるから。その顔も微笑みも綺麗だから。…というのは冗談として置いておいても、「愛される」ことに対して貪欲な手越さんなら愛を信じるマリアの無垢な姿勢をまっすぐ、そしてある意味では実体をもって表現してくれるはずだし、純粋な手越さんが歌っているのを聴いて悲劇の中つかの間の幸福に浸るのはなによりも贅沢な時間に違いない。曲の途中、シャーク団の女たちに「ミス・アメリカ!」とはやし立てられて得意げにポーズを取るさまが容易に想像できる。かわいい。

 

第1位:ポピュラー(ウィキッド

オズの魔法使い』の「悪い魔女」とはどのようにして生まれたのか?「悪い魔女」エルファバと「善い魔女」グリンダの知られざる友情を描いたミュージカル『ウィキッド』。緑の肌を持つ嫌われ者、けれど魔法の力を秘めたエルファバと、ブロンドのキュートな人気者、ただし魔法の才能はからっきしのグリンダは最初こそ犬猿の仲だったが、あることをきっかけに友情を深めていく。「ポピュラー」はグリンダ(リア充)がエルファバ(喪女)をイメージチェンジしてあげようとおせっかいアドバイスする、同作の中でおそらくもっともコミカルなシーンだ。

ポピュラー いいわね ポピュラー

大事なことよ ポピュラリティー

多くの人に受け入れられる これこそが一番大事なの

歌詞だけ抽出して並べるとまず良い印象はもちえないかもしれないが、通して聴けば素敵なナンバーなのでお許し願いたい。まずグリンダというキュートな人気者のキャラクターが手越さんにぴったりで、美意識が高く自分磨きに一生懸命なところもこの歌とよく重なる。なにより「多くの人に受け入れられる」、そのことをいつでもはっきりと求めている(とわたしは感じている)手越さんがこの歌を歌うことは、正しくはまるのではないかと思う。もちろん彼がただ単に表面的な「愛されること」だけを求めているのではないのはわかるが、グリンダだってそうなのだ。わたしの中でグリンダと手越さんはとてもそっくりだ。

だってポピュラー そう 人気が一番

外面飾る それだけよ 難しくない

手越グリンダに「人気が一番!」なんてかわいく歌われたなら、我々はそれはもう首を縦に振るしかできない。人気が一番、あなたが一番。ナンバーの最後、これだけアドバイスしておきながら「魅力ならこの私が上よ☆」と自信たっぷりに言いきる「グリンダ様」節も、手越さんなら間違いなくキュートに決まるはずである。

  

審査員特別賞:勝利ほほえむ(アイーダ

古代エジプトを舞台に、エジプトの将軍ラダメスと、エジプトに捕えられ奴隷となったヌビア王女アイーダとの間の許されぬ恋を描いたディズニーミュージカル『アイーダ』。第一幕冒頭、「勝利ほほえむ」はヌビアに攻め入るラダメス将軍の自信に満ちたアッパーなナンバー。勝利を信じ勇猛に進んでいく姿がかっこよく、手越さんの勝ちにこだわる姿勢を考えればこんなに似合う歌はないだろう。ぜひ歌ってほしい。

自信をもって 我らは進む

望みに向かい 広がる明日へと

未知の土地へと 危険おかして

我らは突き進む 勝利目指して

向かうところ敵無し、戦はすべて勝利する。赤い軍服を翻しながらパワフルに歌う姿は、手越さんの男らしい一面を最大限に引き出してくれるはずだ。最後の「勝利目指して」をロングトーンで決めるところは歓声と拍手喝采を浴びるだろうし、歓声を喝采を浴びることは舞台上の手越さんをいっそう確固たるものにしてくれる。かっこいい。

ちなみにこの審査員特別賞、同作「お洒落は私の切り札」と「勝利ほほえむ」と、どちらにするか迷った。しかし前者はエジプト王女アムネリスが歌うナンバーであり、さすがに4曲とも女声というのもどうかと考えたのでこちらに決めた次第である。わたしの中の手越さんのイメージってなんだろう。

 

▽増田貴久

第3位:壁抜け讃歌(壁抜け男)

マイナーだけれど一度観たらきっと虜になる、不思議な魅力にあふれた大人のミュージカル『壁抜け男』。フランスを舞台に、平凡な役人デュティユルがある日突然壁を抜ける能力を得て人生が一変していくさまを、ときにせつなく、ときに美しく、またときにコミカルなナンバーとともにつづっていく。「壁抜け讃歌」は壁抜けの能力を使って宝石店から宝石を盗むことに成功したデュティユルが、満面の笑みをたたえながら無邪気に喜ぶナンバーだ。 

やったぞ すごい 成功だぜ

両手にいっぱい ポケットはちきれ

見てくれ 宝石のこの山

僕は天才ガルガル どこにでも入れる 

 第一幕の山場のひとつでもあり、デュティユルは盗んだ宝石を貧しい人々に配り歩く義賊・ガルガルとして一躍有名になる。思わず口ずさみたくなるポップなメロディーを増田さんがあの素敵な笑顔で歌い、飛び跳ねているところを想像するだけで、こちらの心もはずんでくる気がする。増田さんには明るくて笑顔の似合う曲を歌ってほしいという、実に個人的な願望を「壁抜け讃歌」は正しく叶えてくれる。

楽しい 人生万歳 正義の味方だ 僕は怪盗ガルガルだ

それまで「平凡な人生が良い」と言っていたデュティユルの口からこぼれる「人生万歳」という言葉。増田さんの少年のような歌声には不思議な力があるから、きっとそこに明るくいのちを吹き込んでくれることだろう。そしてこれは厳密に言えば「歌」とは関係がないが、このときのデュティユルの衣装はとてもかわいい。増田さんに絶対似合うという確信がある。ぜひ見たい。

 

第2位:ハクナ・マタタ(ライオンキング)

劇団四季といえばミュージカル『ライオンキング』、ミュージカル『ライオンキング』といえば劇団四季、というぐらいには知名度があるのではないだろうか。ディズニー映画としても有名なのでいまさら説明は不要かもしれない。プライド・ランドを追い出され孤独となったシンバが出会ったティモンとプンバァ。彼らの教え「ハクナ・マタタ」を口ずさみながら成長し、やがて大人になったシンバが舞台袖から蔦で飛び込んでくるシーン。増田さんののびやかな声で「心配ないさー!」が聴きたい、上半身裸の衣装で肉体を見せつけながら堂々と登場してほしい。その一心しかない。「心配ないさー!」の「さー!」を、突き抜けるほどの気持ちよさで伸ばしてくれるはずだ。

心配ないさ この世のことは

悩み蹴とばす生き方 ハクナ・マタタ

増田さんにそう言われたなら悩みなんて遙か彼方に蹴っ飛ばして生きていきたくもなる。過去とは忘れられた猿なり*1

いつだかの『いっぷく!』で劇団四季に潜入していた回があったが、あの回はいまでも定期的に録画を見直すぐらいに好きだ。プライド・ロックに登る姿を見て正直とてつもなく興奮した。増田シンバ、客演待ってます。

 

第1位:スキンブルシャンクス ‐ 鉄道猫 ‐(キャッツ)

増田さんに歌ってほしいミュージカルナンバー堂々の第一位。わたしの中では競合他曲を押し退け堂々の第一位。その名の通り猫だけが登場するミュージカル『キャッツ』では、都会のごみ捨て場に暮らす”ジェリクルキャッツ”たちが年に一度開かれる”ジェリクル舞踏会”のために集まり、歌い踊る。スキンブルシャンクスは夜行列車のアイドル的存在で、彼がいないと列車は出発することもできないという。周りの猫たちに手を振られながら、明るいメロディーにのせてのびやかに歌う。

夜行列車の旅は素敵 暗闇の向こうに

ほのかにかすんで見える やさしい街明かり 

猫たちがごみで列車を形作り、車掌の格好をしたスキンブルが歌うこのシーンは『キャッツ』の中でもきっとベスト3に入る名シーンだ。きらきらとしたメロディーは、増田貴久というキャラクターに、そして声に、驚くほどマッチするだろう。しかし、ただ単に楽しいだけではない。よくよく歌詞を聴いてみると、楽しいのになぜか涙がにじんでしまうのだ。

思い出を道連れにして ゴトゴト揺られて

夢見るうちに 聞こえてくるよ 明日のおとずれ

わたしの考える増田さんは、中心にいながらにして中心から外れることのできる人だ。つまり、だれよりも「アイドル」然として、舞台の中で主観的な存在となれるのに、だれよりも「アイドル」然とするためにはまず客観的でなくてはいけない。主客を同時に体現する、その二面性が増田さんのもつ深みだと思っている。スキンブルシャンクスも、彼自身アイドル的存在である一方、夜行列車の中で彼の果たす役割(歌詞に表されている)は非常に客観的だ。背反した面をもっていることを考えたとき、やはりNEWSの中でこの歌を歌えるのは増田さんだと思うのである。そういった観念的な部分に加えて、優しく、芯のある増田さんの歌声はシンプルに観客に明日をもたらしてくれるに違いないし、わたしはもたらされたい。増田さんの表現するスキンブルシャンクスは不思議な魅力に満ちたナンバーになること必至だろう。

 

審査員特別賞:ようこそ劇場へ(アプローズ)

『アプローズ』自体は恥ずかしながら未見なのだが、『ソング&ダンス』という演目でこのナンバーが使われており、初めて耳にしたときはその歌詞に衝撃を受けた。

ようこそ劇場へ ショービジネスの世界へ

稽古の苦しさ 笑顔に隠して

生きがいはすべて 舞台の上だけ

わたしたちが目にしている「ショー」とはあくまでも表の世界で、当然その裏側ではさまざまな思いや事情、苦悩が渦巻いている。しかし役者はそれらのいっさいを見せることなく舞台に立ち、観客を魅了する。当たり前のことであるはずなのについ忘れてしまいそうになるこの事実を、役者自身が歌うということにまず大きなインパクトがある。

同様に、「増田貴久」というアイドルはあくまで表の顔であり、わたしたちのあずかり知らない増田貴久は確かに存在する。NEWSのメンバーの中でもっともそういった「役作り」に完璧な姿勢を貫いているのが彼で、その彼がこの歌詞を口にしたとき、はっと気づかされるものが必ずある。「完璧アイドル」増田貴久にこそ歌ってほしい、ショービジネスの光と影。増田さんがこれまで見てきたもの、感じてきたこと、それらすべてが歌詞に落とし込まれて、その片鱗を受け取って、眼前に突きつけられたとき、その現実にある意味で絶望してみたい。

ようこそ 厳しいところへ 競争の世界へ

不安つきまとう 孤独な稽古場へ

悲しみも苦しさも 汗とともに流す

ごまかしも甘えも 許されないところへ

舞台役者もアイドルも、表舞台に立つ者という意味では同じ存在である。わたしたちは「見る者」として、「見られる者」たる彼らを今日もまなざす。このナンバーを通してその感覚を呼び起こさせてくれるのは増田さん以外にいない。

 

加藤シゲアキ

第3位:スーパースター(ジーザス・クライスト=スーパースター

この作品を知っている方がもしいらっしゃるなら、いままででもっとも驚かれる選曲かもしれない。「スーパースター」は地獄に堕ちた裏切り者ユダの最後の見せ場、クライマックスである。エルサレムバージョンでは、ユダは趣味の悪いロック歌手のようなド派手な衣装を身にまとい、シャウトしながら鋭く歌い上げる。女声コーラスの「ジーザス・クライスト ジーザス・クライスト だれだあなたは だれだ」という節はおそらくだれもが耳にしたことがあるだろう。

私は理解ができない

大きなことをしなければ こんなにならずにすんだのに 

歌い出しからしてまず強烈だが、強烈な歌詞の中にもユダの苦悩は渦巻き続けている。歌詞やメロディーの勢いに飲まれてただただ圧倒されてしまうけれど、ユダという人間のそれまでを考えたとき、事態はまったく単純でないことに気づかされるのだ。根底にあるジーザスへの愛、罪の意識、生まれ出るすべての感情、背反し、混在するそれらすべてをのせてユダは魂の限り激しく歌い続ける。わたしは、「苦悩」の表現者としての加藤シゲアキが見たいとずっと考えて続けており、意外に思われるかもしれない選曲の理由はそこにある。「悩む」ことの本質、その中心にある真珠のようなものを、彼の歌の表現から感じ取りたい。

気を悪くしないでくれよ

(傷つけてごめんなさい)

気を悪くしないでくれ

(傷つけてごめんなさい)

考えを知りたいだけ

(考えを知りたいだけ) 

考えを知りたいだけさ

(考えを知りたいだけ)

ジーザス・クライスト=スーパースター』はタイトルロールたるジーザスよりも、むしろユダの方が重要な役回りを担っていると言ってもいいだろう。しげさんがユダという人物のもつ心を深めて深めて深めて解き放ったとき、どんな化学変化が起きるのか。その衝撃をまともに食らいたい。たとえ地球の自転軸が狂ってもかまわない、かまわないから見せてほしい。

 

第2位:Seeing is Believing(アスペクツ・オブ・ラブ)

「恋は媚薬か、劇薬か」――キャッチコピーの通り、『アスペクツ・オブ・ラブ』の恋愛模様を一言で説明することは難しい。様々な恋愛がからみあう中、このナンバーでは17歳の主人公アレックスと、25歳の舞台女優・ローズとの間に生まれた恋が、ふたりのデュエットの美しい旋律にのせてつむがれる。

いまこのとき 信じられないことが ふたりの上に

この道がどこにゆくか なにも気にしない

さあ みんな忘れようと 

恋に身をまかせるふたりの純真な心はその瞬間もっとも熱く燃え上がる。いつだか雑誌のインダビューで、好きになりそうな人ができても理性で抑えてしまう、としげさんは語っていた。わたしはそれを読んで、加藤シゲアキとは理性的な人、ではなく、あくまで理性を「使える」人なのだなと感じた。「使う」ということは使わないところに本質があるのだろう。なにかを伝えたいと思ったときペンをとるように、ペンはあくまで手段であって「伝えたいこと」ではない。肝要なのはペンではないのだ。理性をもってして恋心を枯らしてしまう彼にこそ、みずみずしい恋心を恐れることなくつづったこの歌を歌ってほしい。しげさんの本当の根っこの部分、実在そのものが「ペンを使わない」ところにあるのだとしたら、その歌はきっと聴く者の心を打つだろう。

『アスペクツ・オブ・ラブ』という作品には、個人的に非常に「加藤シゲアキ」っぽいと感じるところが多々あり、この第2位もアレックスのソロナンバー「Love Changes Everything」にするかこちらにするか本当に最後まで決めかねた。「Love Changes Everything」も非常におすすめなので、ぜひ一度耳にしてみてほしい。

 

第1位:魔法使いと私(ウィキッド

大穴中の大穴選曲。『ウィキッド』の主人公、エルファバが魔法の才能を見いだされ、オズ陛下に弟子として紹介してもらえることが決まったとき、彼女はそれまでの差別され虐げられてきた不遇な人生に別れを告げる。第一幕序盤、エルファバの独壇場であり最初の見せ場でもある「魔法使いと私」は、歌詞もメロディーも、奥底から輝く決意にあふれている。

前を向いて 進むのよ 光り輝く明日へと

苦しみ悲しみの 暗闇を抜けて

私は掴むの あたたかい幸せを

どんな夢も いつかは必ず叶う

自分の力 信じるわ

未来に希望をもち、魔法使いになることを夢見るエルファバ。 「自分の力 信じるわ」というフレーズはシンプルながら深く、特にここ最近のしげさんの姿とオーバーラップする。自分のフィールドを見つけ、自信をつけ、力を得、確固たる足取りで踏み出す。その姿を現在進行形で見つめている側として、彼に抱く印象はまさに「魔法使いと私」のエルファバである。自分の力を信じたとき、待っているのは確かに明るい未来なのだと、ふたりの姿勢は教えてくれる。

できるわ 必ずできるわ

はてしなく広がるこの未来 そう その明日へ

翼広げ 大空に向かい 飛び立ってゆくの

その日が来た

希望に満ちた歌詞とパワフルなメロディーを、いまの加藤シゲアキに思いっきり、力強く、高らかに、万感の思いを込めて歌い上げてほしい。自信をもち、そしてそれを実際に体現している、体現し続けるのだろうと見る者に確信させる、彼にしかなしえない意味が必ず生まれる。過去と未来と現在とを見つめたとき、このナンバーを一番効果的に表現できるのはきっと「加藤シゲアキ」という人物、「加藤シゲアキ」という人生だ。わたしはそう確信的な思いを抱いているし、そうでなくてもそうであるように、その声を聴いて、姿を見て、心を揺さぶられたい。そんなぜいたくが実現できたらいいのにと思う。

 

審査員特別賞:青い鳥(青い鳥(旧:ドリーミング))

改めて言うまでもなく、メーテルリンクの名作『青い鳥』をミュージカルにした作品。劇団四季では「ファミリーミュージカル」というくくりにあり、文字通り子どもも含めた家族みんなで楽しめるような作品となっているが、子ども向けと侮っていると思わぬ感動に襲われる。「青い鳥」はチルチルとミチル兄妹が青い鳥を探しに行く際に歌う綺麗な旋律と詩的な歌詞が印象的なナンバーだ。

青い鳥ってなんだろう? 青い鳥はどこにいる?

いつだか虹を 見てたとき 七色の橋を 渡っていった

あれが あれが 青い鳥かしら

綺麗で 遠くて まぶしかったよ

ともすれば子ども向けの幼い歌詞に見えるかもしれないが、青い鳥とはなにかを考える入り口となる重要なナンバーである。しげさんには「考える」ことがよく似合う。似合う、というよりも本人が常に「考える」、「考えている」人だから、「青い鳥かしら」というフレーズもNEWSの中のだれよりもよく映える。青い鳥とはなにか、考えること、知ること、理解すること…加藤シゲアキという存在を通して提示されるそれらのプロセスは、字面こそ単純ながらどこまでも重たく沈んでいくだろう。そういう意味で、この詩をもっとも本質から体現できるのはしげさんだけだ。表面的な部分だけでは表しきれない、詩に込められた意味をかみしめながら、あの特徴のある歌声でつづってほしい。青い鳥が何であれ、観客それぞれの心にそれぞれの青い鳥が見つかるだろう。わたしはそうして見つけたい。 

 

***

 

以上、NEWSに歌ってほしいミュージカルナンバーベスト3である。改めて全体を振り返って見て、小山さんには「苦悩」、手越さんには「愛情」、増田さんには「笑顔」、しげさんには「思考」がキーワードとしてあるように思う。頭で考えていただけのときには気づかなかったが、自分でもおもしろい結果となった。訂正。自分だけがおもしろい結果となった。

まさにわかる人にしか伝わらない、非常に不親切な、徹頭徹尾自己満足なランキングとなってしまったが、しかしそれも仕方がない。考えている自分が一番楽しいから、楽しいなら、それでいいのだ。しかしなにかひとつでも、一行でも、だれかの心にとまることがあったなら、自己満足も一歩先をゆく満足になる。今回選出したナンバーはほとんど公式のPVやナンバー集の動画で見られるので、興味のわいた方はぜひ。ちなみに関係ないけれども、わたしが一番好きな演目は『ウェストサイド物語』だが、こちらはなんと来年2月に約4年ぶりの再演予定なので、こちらももしよろしければぜひ。

今回惜しくもランキング入りを逃したナンバーも多くある。小山さんであれば『コーラスライン』より「愛した日々に悔いはない」、手越さんは『キャッツ』の「ラム・タム・タガー - つっぱり猫 -」、増田さんは『美女と野獣』の「愛せぬならば」、しげさんなら『壁抜け男』から「街の絵描き」などなど…いつかどこかの機会で紹介できたらとひそかにもくろんでいる。そしてまたいつか、暇でお手玉ができる日々が続いたなら、懲りずに今度はコンビで歌ってほしいナンバーでも考えてみたいと思う。

 

 

参考動画一覧

 

ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレムバージョン』

ゲッセマネの園/○スーパースター

www.youtube.com

 

『アスペクツ・オブ・ラブ』

□Hand Me the Wine and the Dice/○Seeing is Believing

www.youtube.com

 

『ウェストサイド物語』

□Cool/♡I Feel Pretty

www.youtube.com

 

『エビータ』

□共にいてアルゼンチーナ

www.youtube.com

 

クレイジー・フォー・ユー

♡I Got Rhythm

www.youtube.com

 

ウィキッド

♡ポピュラー/○魔法使いと私(動画中にはないが、素敵なPVなのでぜひ)

www.youtube.com

 

アイーダ

♡勝利ほほえむ(動画中にはないが、素敵なPVなのでぜひ)

www.youtube.com

 

『壁抜け男』

▽壁抜け讃歌

www.youtube.com

 

『ライオンキング』

▽ハクナ・マタタ

www.youtube.com

 

『キャッツ』

▽スキンブルシャンクス - 鉄道猫 -

www.youtube.com

 

『青い鳥(ドリーミング)』

○青い鳥

www.youtube.com

*1:同ナンバー中のプンバァの台詞。正しくは「過去とは忘れ去るものなり」