読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

結びつながる四線の先へ

お題「NEWS「QUARTETTO」レビュー」

 

NEWSのニューアルバム『QUARTETTO』を聴いた。イタリア語で「四重奏」を意味する今回のアルバムは、まさにタイトルの通り「4人で奏でる」がテーマとなっており、初回盤に収録されている「Theme of ”QUARTETTO”」MVでもストンプやボディパーカッション、ボイスパーカッションといった4人の作りだす音が印象的だ。MVはもちろんのこと、収録曲にもいままでにない挑戦が光る見ごたえ、聴きごたえともに抜群の内容となっている。NEWS自身が「NEWS」にしかできないと断じるその言葉に偽りなし。個々の曲がもつ際立った個性と、それらが合わさったときに生まれる衝撃にも似た感動はこのアルバムでしか味わえないだろう。「4人で奏でる」ことをテーマに掲げたNEWSの堂々たる強さとまっすぐさを改めて目の当たりにしたとき、それがしなやかさにもつながっていくことに気づいて感嘆する。

アルバムとして聴いただけでも非常に密度が濃い内容なのに、これにコンサートの演出が加わったらどうなってしまうのだろうといまからふるえが止まらない。真正面からまともに食らってコンサート会場で泡を吹いて倒れてしまわないように、少しでも心の準備ができるようにとここ最近は繰り返しアルバムを聴きこむ日々なのだが、今回はその中で感じたことを一つひとつまとめていきたい。音楽的な側面からなにか専門的な意見を述べることはできずとも、自分自身が感じたことを言葉にしながらアルバム『QUARTETTO』の魅力をほんのひとかけらでも表現できていたら、これに勝ることはない。

 

 

Track.1  Theme of "QUARTETTO"

4人が生み出すストンプ・ボディパーカッション・ボイスパーカッションの音を複雑に組み合わせて作り上げられたインスト曲。インパクトのある出だし、どこからどんな音が聴こえてくるか予測もつかない、真っ暗な空間で音のシャワーを浴びているような感覚が続いたあと、「QUARTETTO」の囁きを境に雰囲気が一変する。トンネルを抜けて一気に目の前が明るくなるように、ぱっと弾ける音の直後アルバムに収録された曲の一部分が印象的に、幾重にも重なりあっていく。その重なりあい方が本当にナチュラルでいっさいの疑問も抱かせない。1分強という短い時間の中でナチュラルとアーティフィシャルがなんの違和感もなく共存していて、これから始まる『QUARTETTO』という世界への扉としてまったく効果的に機能している。動く歩道のようななめらかさで次の「QUARTETTO」に聴く者を誘導する、まさに「Theme」の名を冠するにふさわしい一曲目である。

MVでは内容がやや異なり、4人がそれぞれの部屋でそれぞれを象徴するような音を発するところから始まって、その後ダンスへとつながっていく。おもむろに部屋から出てきたメンバーが中心で向かい合うところでは、4人が各々異なった分野で多彩な活躍をしながらその活躍をグループに還元しているというNEWSの強みを視覚的に感じられ、思わず胸が熱くなる。個人でしかできないこと、個人ではできないこと、そのどちらもいまのNEWSには欠くことができない。それらの集積を帰結させたものこそが「Theme of ”QUARTETTO”」の「テーマ」であると考えたとき、やはりこのアルバムの一曲目はこれでしかありえないと思うのだ。

ちなみに、今回のMVはメイキングから始まる。最初に再生したとき、「Play All」を選択したのにメイキングが流れだしたので先にネタバレされてしまう!と焦ったのだが、結論から言えば先にネタバレされる方式の方がより期待が膨らんだ。これからこんな音を使う、こんな音を出すとあらかじめ提示されることで、それらをどのように融合させるのかと想像しながら見ることができたし、答え合わせのようなMV本編をいっそう新鮮な気持ちで見ることができた。順序を逆にするというシンプルながら絶大な効果を発揮するこの手法も、新しい試みのひとつとして非常に興味深い。

 

Track.2  QUARTETTO

まごうことなき本アルバムのリード曲。「四重奏」と銘打つ通り最初と最後に4人の美しいコーラスが鳴り響く。 低音が魅力のしげさんが上ハモを担当していたり、1番のソロが2番ではデュエットになっていたり、メンバーの「声」を使った工夫が随所に聴こえるのが印象的で、「4人で奏でる」というテーマをもっともわかりやすく提示しているのではないだろうか。「カルテット」と聞くとどこかクラシックなイメージを抱くが、その典型を勢いよく打ち破る疾走感に満ちたメロディーと、力強い歌詞に気持ちがどんどん引っ張られていく。アルバムの方向性や世界観を打ち出すものとしてはもちろん、ひとつの曲として聴いたときもとても気持ちが良い。前へ前へ、上へ上へと駆けていくのを一緒になって楽しめるし、コンサートでも会場が一体となって盛り上がるのが想像できる。そうでなくても心のペンライトを振っているのだ。

正直に言うとこの曲を初めて聴いたとき、「四銃士」のようなクラシカルなものを期待していたせいで少し面食らった。あれ、なんか違うかなと、そう思ったのだが、聴いているうちにそんな印象はどこかへ消えてしまった。「QUARTETTO」というタイトルでここまで攻め込んだ曲を出してくるのはそれだけ自信がある証拠だし、「シゲアキのクラウド」にてしげさんがふれているように、ストリングスを織り込むことで「カルテットっぽさ」を残すことも忘れない。聴けば聴くほど曲の世界観に引き込んでいくアグレッシブな一曲だといまでは感じている。「燃え尽きるまで」と歌っていても、そのいままさに燃えさかっている魅力が尽きることはけっしてない。

 

Track.3  ANTHEM

FIFAクラブワールドカップジャパン2015のオフィシャルテーマソングであり、NEWSといえばサッカーソングとの印象をより強いものたらしめた曲だろう。曲を聴く前、サッカー関連の曲は「WORLD QUEST」「ONE - for the win -」「SEVEN COLORS」と3曲もあるのにさらに加えるとなると個性を出すのは難しいのではないか?とひそかに不安を抱いていたのだが、いまではそんな不安など最初から存在しえなかったかのようである。冒頭の地響きのような「Wo o o o」はなにか大きなことが起こりそうな予感を聴く者に抱かせ、そしてその予感を裏切らない「夢の序章」の歌詞。「Bravo!」から始まるサビは響き続ける低音と高いキーとのバランスが絶妙で耳に心地良い。聴きながら思わず飛び跳ねたくなってしまうリズムとも相まって、ワールドカップという国際的な場にぴったりな、特殊性と普遍性とを兼ね備えた一曲になっている。

また、細かいところで言うと小山さんの「いま待ちに待ったステージへ」の歌い方、特に「ジへ」の部分が本当に素晴らしい。裏返りそうだけど裏返らない、そのギリギリのラインまで一気に声をもっていく、小山さん独特の歌い方がわたしはとても好きで、どの歌を聴いていてもその部分が聴こえるとそこに夢中になってしまう。どこか引き絞るような歌声が魅力の人だと常々思っていたが、だからこそこの絶妙な表現がぴたりとはまるのだろう。本人が意識しているのかそれとも無意識なのかはわからないが、小山さんの歌声・歌い方はほかの3人にはない特異な性質があり、NEWSの楽曲に深みと個性を与える役目を果たしていると感じる。

 

Track.4  シリウス

 ウイング「Missスレンダ」のテーマ曲であり、「渚のお姉サマー」「NYARO」に続く3曲目のブラタイアップ曲。ブラ曲はシングルカットされないという謎の、そして悪しき(!)慣習の通り、CM放送時点ではサビしかレコーディングしていなかったという。しかし、CMでサビを聴いただけでも間違いない良曲であると確信がもてるほどの完成度の高さで、だからこそシングルカットされない悪夢がいっそう恨めしい。「渚のお姉サマー」しかり「NYARO」しかり、なぜシングルにしないのか、これ以上罪を増やしていったいどうしようと言うのだ。後生だからこれ以上罪を重ねるな。

冒頭のサビでは手越さんのまじりけのない透き通った声にしげさんの上ハモがそっと重なる。一等星の周りを繊細に彩る星々のように、声質的にも異なるふたりのハーモニーがこれほど美しい旋律を聴かせていることに心がふるえた。正反対に見えてどこか似ている彼らが歌っている、そしてそこからこの歌が始まって行くということを考えるとよりいっそう胸に迫るものがある。そしてまた、大サビの歌割りを担当しているのもこのふたりである。しげさんが歌うパートの、抑えた、けれど抑えられない激情が滲む「叶わぬ恋が今も胸しめつける」と、手越さんが「SLENDA 君を願う」とあふれだす思いを一気に放つパート。前者の抑えがあるからこそ後者の勢いが加速度的に増していき、後者の勢いが前者のセンシティブな性質を完成させる。この絶妙な引き立て合いには息をのむことしかできない。

叶わぬ恋に身を焦がす痛みを感じる歌詞と、それとは裏腹に疾走する風の音すら聞こえてきそうなさわやかなメロディーがこの曲のもつきらめきを強いものにしている。「シリウス」のタイトルそのままに、曲全体の雰囲気はとても明るいように感じる。しかしそれは平面での明るさではなく、それこそ星であるかのごとく、無数の点が散らばっているような明るさなのだ。タイトルと、歌詞と、メロディーと、それらから想起されるものがすべて「星」に集約される、これほど光り輝く楽曲はアルバムの中でも特に印象深い。最初にこの曲を聴いたとき、わたしは涙があふれて止まらなかった。悲しいとかそういった感情からではなく、ただただこの曲をNEWSが歌っているというシンプルな事実に胸打たれた。素晴らしい曲を素晴らしいグループが歌っている、この素晴らしい世界。涙でしか感情を表せない自分が情けない。

また、わたしはこの曲を聴いて、手越さんの歌声には聴いている方の意識を引っ張っていく力があるのだと改めて実感させられた。これまでもNEWSの楽曲の中でひときわ存在感を放っているとは重々承知していたが、ただ存在感があるだけではなくて、他者の意識をも巻き込むほどの吸引力がある。流れ星を見たら思わず願い事をしてしまうように、その輝きがそれだけでは終わらない。そう考えるとやはり手越さんの歌声がもつパワーは唯一無二のもので、それがこんなにも効果的に発揮されている「シリウス」は間違いなく一等の恒星である。 

 

Track.5  Touch

ニッセン「touchn,」のCMソングであり、NEWSが4人体制となって初のCM出演を叶えたこともあってNEWSファンにとっては思い入れの強い曲ではないだろうか。「QUARTETTO」「ANTHEM」「シリウス」と、スピード感ある曲が続いたあとでがらりと雰囲気を変えてくる曲順もとても粋である。サビにはやわらかなファルセットが多用され、まるでシャボン玉のような優しさとポップさが弾けている。かわいいとおしゃれを同時に体現するこの曲はまさにアイドルソングといった印象で、メンバー自身が「NEWSの王道」と評しているのにも納得がいく。

「ANTHEM」同様ここでも「wo o o」が使われているが、こちらは前者とは異なり地響きのような強さではなく、心がぽんぽんとはずむような軽やかさがある。散歩のお供に、春の陽気に包まれてあったかい気持ちでスキップしながら聴くのが一番似合う。壮大すぎない世界観もまた、日常の中にそっと置いておきたい、思い出したときに優しくふれたい、そんな等身大の魅力を確立させている。さわってみたくなるパーカーのCMソングとしてこれ以上なくはまっているし、NEWSだからこそ表現しえる距離感の近さもこの曲を「NEWSらしい」ものせしめている。細かな足の動きが印象的なダンスも含め、コンサートでどういった演出になるのか楽しみな一曲でもある。

そしてまた、「シゲアキのクラウド」でしげさんが指摘しているように、増田さんの歌声の果たす役割が「Touch」をいっそう「Touch」らしくしている。元来やわらかな、けれど芯のあるシフォンケーキのような増田さんの歌声、そして語尾の息をそっと自然に抜いていく歌い方がだれよりもこの曲に合う。けっして甘いだけじゃなく、どこかにじんと舌先をしびれさせる要素があるからこそ、ぶれずに世界観を提供し続けられるのではないか。

 

Track.6  NEWSKOOL

NEWSファン待望のメンバー紹介曲。メンバー紹介というよりも自己紹介曲であり、それぞれの名前と好きなもの・ことなどが自然に歌詞の中に織り込まれている。どのパートもわかりやすいので改めてここがこうと指摘することはしないが、こんなにもおしゃれでナチュラルなものを繰り出してくるとは想像もしていなかったので、初めて聴いたときは純粋に驚いたし、またシンプルにめっちゃ歌うの難しそう、と思った。それだけ凝ったつくりになっていて、かつC&Rもあるのでコンサートで聴くのが待ちきれない。

冒頭で「Let's 4」、サビはグループ名のNEWSを使ったアクロスティック、「A New Era Will Start」から始まり、「No End no Way to Stop」と続き*1、各メンバーのパートと、一曲まるごとNEWSのNEWSによるNEWSとNEWSファンのための曲である。ラップ音楽には明るくないのでそのあたりの技巧的な話、オマージュ的な話はわからないが、NEWSの新しい挑戦としてここまでラップを押し出した曲の存在価値ははかり知れない。きっとこの曲を契機にまた新たな試みがこれから生まれていくだろうという、明るい未来予想図を描かせる。こんなにも挑戦的な曲がここだけで終わるだなんてことはありえない、いまのNEWSならさらに進化を遂げてくれるだろう、そんな「ニュースクール」な気持ちにさせられる。

一人ひとりのパートを聴いているとやはり個性がそれぞれあってとてもおもしろい。小山さんは一音一音が溶接され境を曖昧にしたような歌い方が、普段とのギャップもあって新鮮に聞こえる。どこかこなれている感じを醸し出しているのも「A-Da-La-La-A-Di-Li」という語感も、真面目な顔の裏側の、ちょっとふまじめな部分が感じられてきゅんとする。増田さんはなめらかでありながら一音一音ははっきりしているのが不思議な聴き心地で、良い意味でつかめない、つかみどころがない。しげさんはあえて開口しない、技巧的な無気力さや気だるさが声質とともに独特な印象を与える。手越さんのパートは…少ない。ほかの3人に対してなぜか圧倒的に少ない。せっかくの甘く絞られる手越さんの歌声が少ししか堪能できないのは非常に惜しい。

大サビでのピキュンピキュン!!といった電子音など、遊び心も楽しいこの曲が演出によってまたどう生まれ変わるのか、いまから待ちきれない。

 

Track.7  四銃士

読売・日本テレビ系『金田一少年の事件簿R』のOPテーマであり、指揮・総編曲にかの西本智実さんを迎え、オーケストラの演奏とともにつくりあげたNEWS史上最大級にスケールの大きい曲である。曲が始まった瞬間の衝撃の大きさはアルバム中随一とも言え、「そう 我らは四銃士」という短いながら聴き手の耳に良い意味で引っかかりを残していく出だしも計算しつくされている。原曲はラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」であり、クラシック方面にまったく明るくない身としては恥ずかしながら知識的なことはなにもコメントできないのだが、とにかくこれでもかというほど壮大であることだけは強調したい。NEWSという現代のアイドルグループがクラシックと融合した楽曲に挑戦していることだけでも聴きごたえがあるのに、そこにユニゾンからのソロパートという、これまであまり見られなかった歌割りも色を添えている。重厚なクラシックのサウンド、サイバーなアレンジ、NEWSの歌声の3つの要素がそれぞれ反発することなく、むしろそうなることが自然であるかのように重なりあう。ポップでおしゃれでかわいくてかっこいいだけではない、もっともっと多彩な面を見せてくれるNEWSだからこそ成しえた楽曲であることはだれの目にも…耳にも明らかだろう。

「Touch」「NEWSKOOL」と明るくおしゃれな曲のあと、浮き立ちそうな心を一度切り替えさせ、襟を正させる。アルバムの中盤にこの曲があることで全体が引き締まった印象になるので、ともすれば浮いてしまいそうなほど個性の強い曲を逆に生かす曲順にも驚嘆を禁じえない。今回のアルバムの中でも異色でありながら、その異色さをもっとも良く押し出されているのがこの「四銃士」であるように感じる。

 

Track.8  Wonder

どうあがいても特効をド派手にバンバン弾け散らして踊り狂ってほしいしどうあがいてもそういう演出が期待できる一曲。「ロックをやりたい」という手越さんの希望から生まれた曲だそうだが、個人的にはロックに加えメロスピやシンフォニックメタルの空気を感じ取ってとてもとてもテンションの上がる曲である。といってもそちら方面に特別造詣が深いというわけでもないのであくまで印象論にすぎないのだが、特にイントロのどこか底の知れない不気味さを含有するピアノの音色、Aメロの平坦で地を這うメロディー、アウトロでぎゅんぎゅん響くギターと、耳に残るメロディーが非常に多い。気づいたらイントロ→サビ→イントロ→サビ→アウトロと、繰り返し繰り返し頭の中で流れていることもあり、挑戦的ながらキャッチーな普遍性も同時に共存させている曲であることがよくよく感じられる。

音楽的な詳細・解説については「シゲアキのクラウド」でこれでもかというほど語られているが、この曲では「一番かっこいいロックの真似事」を堂々と表現することがテーマとなっている。なるほど確かに、「ロックの真似事」を一番かっこいいステージに引き上げるためにすべてのフレーズに工夫が凝らされている。小山さんと増田さんのラップ、手越さんとしげさんのメロ、高いところから突き落とす、あるいは天にまで突きあげる「Wonder」のインパクトでそのまま連れてくる激しいサビ、幾度もリフレインされる「Wonder」、しなやかなのに加工によって得体の知れなさを付与された、耳に残る増田さんの「Wo wo...Wonder」、それまでの空気を突如断ち切って聴かせる落ちサビ。そこから来るぞ来るぞ、と背筋をぞくぞく這い上がる期待に応えるクライマックスではもうただひたすらに聴こえてくる音を享受することしかできない。一曲の中でここまで多様な表情を見せる豪華さはまさに「世界一かっこいいロックの真似事」と称されるにふさわしい、タイトルがそれを物語っている。燃え尽きるようなジリジリとしたアウトロがいつまでも耳の奥で鳴り響く。

つい数曲前、「Touch」で「君に触れTouch」とやわらかに歌い上げていたのが嘘のように、「Wonder」の「Touch」は力強く男らしい。ふれるなんて生やさしいものじゃない、手のひらいっぱいに力を込めてつかんで離さない。小鳥の羽づくろいと狼の狩りだ。それぐらい両者の「Touch」には天と地ほどの差がある。しかしそれを同じグループが歌っている、このふり幅。こんな贅沢が楽しめるのもアルバム『QUARTETTO』の魅力のひとつだと自信をもって断じたい。

ちなみにどうでもいいが、「We are Fantastic 4」で毎回ジャニーズWESTの「We

 are PARTY MANIACS」を想起してしまう。低音といいあやしげなメロディーといい、どこか似た部分を感じるのだがどうだろう。

 

Track.9  ライフ

凝りに凝った「Wonder」とは打って変わり、飾らないまっすぐさでメッセージを届ける、NEWSがもっとも得意とするジャンルの一曲。「ライフ」、人生・生命を意味する楽曲タイトルの通り、歌詞も生死を綴ったものである。星を「死」の暗喩として使用していたり、「この火が消えるまで 鼓動が鳴り止むまで」といった「死」を連想させる表現だったり、文字だけ見るとどことなく苦しさが感じられるかもしれない。しかし、生あるからこその死、死あってこその生であるように、両者は切っても切り離せない関係にある。すべてのものに影がある、それと同様にすべてのものに死は与えられる。死のない生は生ではない。改めて考えれば当たり前のことなのだが、その当たり前のことを当たり前として歌うこの曲は、対内的にどこまでもしたたかである。「ライフ」のもつしたたかさはきっと聴いた者すべてのしたたかさになる。だからわたしはこの曲を落ち込んだときではなく、元気なときにこそ聴きたいと思う。

ここ最近は星をモチーフにした楽曲が多い印象だが、同じ「星」でもどこか異質なのが「ライフ」の「星」であり、異質であるにもかかわらずなんの異質性もなくアルバムの中に溶け込んでいる。凝っていないように思えて実のところもっとも二面性、意外性がある曲と言えるのかもしれない。

 

Track.10  チュムチュム

NEWSとインドがまさかのドッキングを果たし、聴く者すべての度肝という度肝を抜き去っていく。インド人だけでなく日本人も心底びっくりの究極INDIAソング。究極INDIAソングってなんだろう、といま自分で打っていても一片の疑問が生まれたが、そうとしか言いようがない。特にインドとのタイアップがあったわけではない。

灼熱の太陽と乾いた熱風をここまでリアルに織り交ぜた楽曲、そしてそれをジャニーズアイドルNEWSが威風堂々と歌い踊っていること、なにが起きているのかわからないけれどなにかが起きている。そのなにかとはなにか? 聴けばすべてが実感のもとにご理解いただけると思う。インドのエキゾチックな香りをたっぷり含んだメロディーにJ-POPのキャッチ―さがここまで違和感なく共存できるものなのか、これが世界平和かと、スケールの大きな錯覚を起こしそうになるのだ。一度聴いたら忘れない「チュムチュムINDIA」のフレーズ、メロディー、そして振付。どこをどの角度から切り取っても「チュムチュム」、もう「チュムチュム」でしかありえないほど「チュムチュム」。なぜだか先ほどからなんらの意味もなさない言葉しか述べていない感が否めないが、わたしの言葉のステージではこの曲を言葉でつまびらかにすることは難しい。聴く、感じる、この曲に関してだけはそれがすべてなのだ。

あまりの個性爆発っぷりに本人たちもアルバムに収録する位置に迷ったそうだが、個人的にはどこに置いても個性爆発してしまうのだからあまりそこは気にしなくてはいいのではないかと思う。あくまで個人的な意見だが、「ライフ」からバトンを渡されるこの順番でもやはりどこか浮いてしまっているように感じる。しかしそれでいいのではないか、むしろそれこそがこの曲のもつ唯一無二の個性の表れなのではないだろうか。世界観が独立しているからこそ、なににも邪魔立てされることのないチュムチュムワールドを展開できるのであって、むしろ誇るべきことであろう。チュムだからいいんだ。

 

Track.11  Departure

冒頭からピコピコとしたサウンドがポップで、駆け抜けるさわやかさが際立つ曲。学園ものアニメのOPに合いそうな王道の歌詞、明るく、そしてどこか懐かしさを感じるメロディーはいまや遠い青春のきらめきが思い起こされ、つい口ずさんでしまいたくなる。2番のあとの転調は全体に響き渡る包容力のある増田さんの歌声と、手越さんの「引っ張っていく」伸びやかな歌声の対比が楽しい。それまでのピコピコ感はいったん潜ませ、どこまでも無限に広がっていく青空が眼前に浮かぶ。「Departure」、出発というタイトルの通りどこへだって行ける勇気が心の奥から湧いてくる。

今年2016年はNEWSにとってジャンプの年だと本人たちは言う。その「ジャンプ」の年にリリースしたアルバムの中に、ここまで「ホップ・ステップ・ジャンプ」という言葉が似合う曲が収録されていることも感慨深いものがある。「戻りたい過去など どこにもないから」のフレーズは、明るい未来を見すえて地を蹴って走り出す希望に満ちている。過去には戻れない、ではなく、過去には戻らない。まっすぐな気持ちはきっとなによりも強い。若々しいその感性とともに疾走していくNEWSについていきたいと思えるし、自分が失速してしまったときには手を引っ張ってもらいたいと思うし、一緒に走るのも走っているのを応援するのもきっときっと幸せだ。雲ひとつない青空の下、目指す未来をともに見ていたいと強く思う。

 

Track.12  ヒカリノシズク

この曲に関しては思うところが思いすぎるほど際限なくある。しかし、それらすべてを嘘偽りなく言葉にする勇気をいまだ持ち合わせておらず、かといって下手に取り繕うのも不誠実の極みであるので、ここで語れることはなにもない。コンサートでもおそらく100%歌うだろうが、はたしてそのとき自分が正気でいられるかどうかだけが目下の懸念である。

 

Track.13  LIS'N

毎年激しいダンスが魅力の増田さんのソロ。今年も増田さんにしかできない、つくれない増田ワールドを堂々と提示してくれた。歌詞もメロディーも一瞬一瞬すべてが増田貴久というパフォーマーのために存在する。昨年の「Skye Beautiful」では世界に君臨した神的存在と思われた増田さんだが、 今回はそれを軽々と超えてきそうなパフォーマンスが期待できそうでいまからふるえが止まらない。「watch me」と言われずともwatch youしているのに「watch me」と言われてしまったならもはやこの目まるごと差し出す勢いである。それなのに「包み込みたい 声だけでもそばに」と来るのはとてもずるい。強大な力をもった人の愛が見せる一瞬のもろさにくらくらする。改めて言葉にせずとも、強靭で繊細な表現で、今回も見る者すべてを魅了することは間違いないだろう。

 

Track.14  愛のエレジー

毎年なぜか別れている小山さんのソロ曲。今回は歌謡曲風ということで、懐かしさとともに新鮮さをも感じられる。小山さんの引き絞る歌い方が別れの歌にマッチすることは周知だが、今回も「エレジー」のイ段音が極上にせつない。小山さんの歌うイ段の音がなによりも好きなのでタイトルが「愛のエレジー」と知った時点で期待していたが、期待していた何倍も素晴らしい。何度も聴きたい。

ただ、歌詞を見るにこの主人公の男はなかなかに面倒くさい香りがする。想う女性のことを「あなた」と呼んでいることから、もしかしたら年上の女性に焦がれているのかもしれない。その年上の女性に「意気地なし」となじられ愛想を尽かされたのに、「不器用な男なんだと 知ってたはずだろ」と開き直ってみたり、「いつか戻ってくるだろうと 甘い夢を見て」いたり、もう少し現実を直視する練習をした方が将来的にも良いのではないかと、要らぬ心配をしてしまう。一度男に愛想を尽かした女がその男の元に戻ってくる可能性は限りなく低いのではないかという要らぬマジレスである。

「あなたを死ぬまで愛したい」の台詞の重たさはさておいて、コンサートでのパフォーマンスではきっとまた魔性の魅力で会場の意識という意識を根こそぎ奪っていく小山さんが見られるのだと思うと、いまから空恐ろしくなる。 

 

Track.15  星の王子さま

毎年なんらかのテーマに沿って作られるしげさんのソロ曲。ヴァンパイア→夢の世界の妖精さん(オブラート)→ホテルマンと来て、今年はサン=テグジュペリの不朽の名作『星の王子さま』がモチーフとなっている。昨年、一昨年と英語詞が多かったためか、今年は日本語歌詞にこだわったと本人が言っていた通り、美しい日本語の並びが目にも耳にも優しく、心地良い。『星の王子さま』という物語を「咀嚼・吸収・再生産」することを目指した通り、たんにストーリーをなぞるだけに終わらない、それでいて観念的な部分にとらわれるわけではない、絶妙なバランス感覚で曲が構成されているように感じる。また、ラップやポエトリーリーディングライミング、女性コーラスといったこだわりもそこかしこに散りばめられていて、やわらかながら骨太な聴きごたえのある一曲だと思う。個人的に一番好きなフレーズはラストサビの「いざ進め!」で、無邪気さと芯の強さがシンプルに伝わってきてぐっとくる。

星の王子さまでも飛行士でもストーリーテラーでもない、ほかでもない「加藤シゲアキ」が考え、つくったこの曲を、世界を、わたしはとても愛している。そのことがなによりも幸せである。

 

Track.16  Encore

毎年なぜか別れている手越さんのソロ曲。今回もピアノの美しい旋律にのせて手越さんのピュアな歌声が思う存分に発揮されている。手越さんの歌声が失恋ソングに合うのはきっと、声質的な部分ともうひとつ、心を偽らないこととその意味を声に含めることができるからなのかなと思う。「笑ってよ キスしてよ もう一度」と縋るような歌詞がせつない。未練に心を刺されて苦しんでいる主人公の男性の痛みを、聴き手のものとさせてしまう、同調させてしまう。しかし、シンプルで飾りのない歌だからこそ、その痛みを綺麗に聴かせることができるのだろう。手越さんが歌うこの歌の輝きはどこまでも透き通っていて美しい。

 

 

以上、大変長くなったがアルバム『QUARTETTO』を聴いての個人的な所感である。「4人で奏でる」という一見すると基本に立ち返ったかのように思えるテーマも、さまざまな工夫を凝らした楽曲たちによって非常に深みのある、難しいものとなっている。しかし、自らが設定したテーマを自らで掘り下げ、そして自ら飛び越えていく。いまのNEWSが自信をもって見せてくれる姿にはただただ圧倒されるしかない。このアルバムを引っさげたツアーも2週間後には開幕し、視覚的な演出も加わってくると考えるといまから参加する日が待ち遠しくて仕方ない。きっと昨年同様、昨年以上に、素晴らしいステージを見せてくれるだろうことは、ここで改めて言うまでもないことである。

*1:「世界で一番かっこいいアイウエオ作文」(加藤シゲアキ談)