それは火曜深夜のアミューズメント #にゅすほめ
(この記事は「#にゅすほめ Advent Calendar 2015」へ捧げます)
ついこの前、同じくアドベントカレンダー「おたく楽しい」企画に僭越ながら参加させていただいたが、今回は「にゅすほめ」の方に記事を寄稿させていただく。普段はラジオの文字起こしとまとめしかしていないのに出すぎた真似をと我ながら思う。大変恐縮である。
「にゅすほめ」、とにかくNEWSを褒めまくる!がテーマということで、どんな記事を書こうかいろいろと思案した。最初はWhiteのコンサートがいかに幸せで、いかに愛にあふれているかについて壮大な叙情詩を綴ろうかと思ったが、そういえば夏ごろにそんなような記事を長々と書いたなと思い出した。あれをいま再び繰り返すのもなんだか気が引けるし、なにより言いたいことはそこに全部叩きつけるようにして盛り込んだ。さてどうしようと改めて考えをめぐらし、ああでもこうでもないと悩みに悩み、あっちにふらふらこっちにふらふらした結果、「KちゃんNEWS」というあるひとつのラジオ番組に思い至った。
KちゃんNEWS。毎週火曜24:00~24:30*1に放送される、NEWSのレギュラーラジオ番組である。NEWSのリーダー小山慶一郎ことけーちゃんがMCとなり、基本的には2週間ごとの持ち回りでメンバーがゲストとして出演する。各コーナーに投稿されたおたよりとともにトークなどを繰り広げ、あるときは女子会、またあるときはアトラクション、そしてまたあるときはもはや放送事故などなど、メンバーごとに個性の光る内容はもちろんのこと、ゲストのメンバーによってがらりと変わる番組全体の雰囲気も魅力のひとつだ。その週によってさまざまな聴き方、楽しみ方ができるので何度聴いても聴き飽きることがなく、それだけバラエティーに富んだラジオ番組と言える。
思い返せばわたしがNEWSというグループに興味をもち始めたころ、「KちゃんNEWS」はメンバーの個性を把握したりメンバー同士の空気を感じたりするのにもっとも役に立つコンテンツだった。楽曲の流れる時間を差し引くとトークの正味時間は非常に短いものの、だからこそ必然的に密度の高いものとなる。どんなことを話しているか、話しているときの声のトーン、笑うタイミング、自然に生じる間等々、ふたりの会話に反映されているものからいろいろなことをくみ取り、そのくみ取ったものを基本情報としていった記憶がある。冠番組のない現状を鑑みると、NEWSについてあまり詳しくない人にとって、「KちゃんNEWS」というラジオは彼らについての実感的な情報を等しく提供してくれる存在であることは間違いない。
NEWSファンなら聴取している方も多いのではないかと思うが、今回はその「KちゃんNEWS」について、各メンバー回の特徴を挙げつつ、いかに楽しく、おもしろく、ときに意味不明なラジオであるかを語っていきたいと思う。これまで「KちゃんNEWS」を聴いたことがなかったNEWSファンにも、NEWSファン以外の方にも、偶然この記事を見かけただけの方にも、少しでもその魅力の一端が伝われば幸いである。
0.KちゃんNEWS内各コーナー
各メンバーゲスト回にふれる前に、ラジオ「KちゃんNEWS」内のコーナーを一度さらっておこう。各メンバー専用のコーナーは2種類ずつあり、つい最近改変がなされた。バラエティーに富んだ内容は毎週の放送をいっそう楽しみにさせる。
・しげほめ
新コーナー①。リスナーのみなさんから届いた、マニアックな視点でしげさんを褒めるメールを紹介しながら小山さんがそれに共感し、ときに加藤シゲアキの知られざるかわいい一面を我々リスナーに教えてくださる(のちに詳述)大人気コーナー。コーナーが設立される前から「しげほめ」メールはごまんと(?)届いていたようで、設立後もその勢いは衰えていない。
・世間が増田についてきた
新コーナー②。リスナーの周りで流行っていることをNEWSの流行先取り隊長・増田貴久に評価してもらうコーナーで、話題はファッションに限らず、流行っていることならなんでも可。ときには世間を飛び越えて世界が増田についてくることも…!?
・手越の運命の歯車
新コーナー③。リスナーからのおたよりに対し、手越さんが「運命の歯車が噛み合って結婚する可能性も0ではない」という旨の発言をしたことから生まれた。「結婚したら部屋は別々?」「交際0日で結婚は?」等々、手越さんの理想とする女性についてのおたよりを募集している。
・ますおこ
定番コーナー①。普段から温厚で優しい増田さんに怒ってもらいたい!そんな乙女たちの要望にお応えし、送られてきた「過去にやってしまった悪いこと」をもとに増田さんが怒ってくれる。でもだいたい怒らない。増田さんの怒りのツボを刺激するのは意外と難しいようである。
・手越の初体験
定番コーナー②。手越さんが経験したことのなさそうなことについて、その有無を答えてもらう。やっていそうなことを意外とやっていなかったり、やっていないようなことを意外とやっていたり…手越さんの新たな一面が垣間見れる安定の聴きどころコーナー。
・シゲアキ先生の人生の法則
定番コーナー③。シゲアキ先生が思わず「わかる!」と言いたくなるような人生の法則を送ってもらう。場合によって「わかる!」ことも「わからない…」こともあるが、ときにはおたよりの内容を置いてそこからどんどん話が膨らんでいくのもおもしろい。
・ガールズトーク
共通コーナー。女の子がしているガールズトークを送ってもらい、そのことについてメンバーが”男”目線で語る。ガールズトークなだけあって恋愛寄りの話題がやや多め?
・妄想Kissシチュエーション
ほとんど手越さんのコーナー。リスナーが妄想した理想のキスのシチュエーションを台本形式で送ってもらい、それを小山さん(彼女役)とメンバーが演じる。手越さんがゲストのときのスペシャルウィークで放送されることが多いが、ごくまれに増田さん・しげさんとの回で行われることもある。
・ふつおた
ふつーのおためんでぃ(手越祐也・談)…ではなく、ふつうのおたより。
どのコーナーにもそれぞれおもしろさがあり、ひとつのおたよりからどんどん話が膨らんで逸れて収集がつかなくなったりするのもまたおもしろい。放送時間が短かったり話が盛り上がったりで紹介されるおたよりの数は多くないが、これからの「KちゃんNEWS」を盛り上げるためにもみんなでたくさん送っていこう。
1.小山・増田 ~男友達、ときどき、女子~
増田さんがゲストの回は、他のふたりよりも穏やかで落ち着いた雰囲気が満ちている傾向にあるように思う。NEWSの中でも年上にあたる(といっても4人にそこまで大きな年齢差があるわけではないが)こやますのふたりには意外と共通点が多く、たとえば姉がいたり、たとえばO型だったり、またたとえば社交性があり初対面の人とも打ち解けられたり*2、おそらく根底を成しているものが似ている、または限りなく同じなのではないかと感じることが多い。
そんな限りなく近いふたりの会話には限りなく近いがゆえのほどよい距離感がある。こやてごのようにベタベタしていない、こやしげのように閉じこもっていない、誤解を恐れずに言えば「普通の」男性同士の距離感。お互い自らのテリトリーがあり、そのテリトリーを侵さない、つかず離れずの絶妙なバランス感覚でトークが進んでいく。そのバランス感覚というのはなにも常に意識を必要とするほど難しいことではなく、だれもが「普通の」友達に対してそうであるように、無意識にこなせるものだ。そのほどよい距離感があるからこそ、リスナーたるわたしたちはなんの気構えもなく、良い意味でフラットな気持ちで彼らの会話を聴くことができる。
ただ、そんな「普通の」ふたりの会話にも特徴・特色はある。小山さんの頭の回転の速さがもっとも如実に現れているのもこやます回だとわたしは感じている。NEWSの中でも特にMCという、しゃべりを仕切る立場での仕事が多い小山さんの頭の回転の速さや察しの良さ、そしてそれを苦もなく行える力量は、彼らのトークの端々に現れている。
増「き、なんか、昼間やってないでしょ」
小「昼間は土日はやってましたけどね」
増「いやいや平日よなんでやってないの」
小「いや平日はエブリーがあるからさあ、でも平日も7時半公演ですから」
増「あー中途半端ごはん食べてるから」
小「中途半端(笑) そうねまっすーの予定にちょっと組み合わなかったのかな」
増「いやいやそれうそほんとね仕事の、スケジュールと、あと、まあいろいろね?こう…」
小「いやでもね、まっすーね、まあこんなこと言ってますけど、ちゃんと楽屋に差し入れれ、してま、くれてるからね、まっすーは」
増「おれしたよ、けっこう早めにおれは」
小「いや、ほんとに、早めに来たよ」
(2015年10月14日放送より)
小「でもさか、最近絞れたよね、ぎゅ!って」
増「ああ、そうかな?でもおれもともとでもさそんなにこうぷにぷにしてなくない?」
小「時期にあるじゃん、よるじゃん。あ、いまメシけっこう食ったんだなみたいなさ」
増「ああ…」
小「シーズン、からさ、いま一回、絞ったじゃんきゅって」
増「うん」
(2015年12月10日放送より)
「予定に組み合わなかった」「いまメシけっこう食ったんだな」あたりがまさにそうで、直接的な言い回しを避けつつ、かといって変に包みすぎることもない。とっさにこうした表現が出てくるところにはっとしたりする。
特に増田さんがゲストのときはこういった場面が比較的多く、無意識下での距離感と意識的な気遣いとの組み合わせが、よりいっそうふたりのトークを安定したものにしているのではないだろうか。小山さんと増田さんがつくりあげる雰囲気がときに雑っぽく、ときに繊細である所以はここだと思う。ゆるやかに背反しあう性質はさざ波のようで、聴く者の頭に自然と入り込んでくる。
そしてもうひとつ、こやます回の魅力といえば会話のノリが突然女子会っぽくなるところだ。普通の男友達、の会話を聴いていたと思ったら、なぜかいきなりきゃっきゃしだす。しかるべき少女漫画であればふたりの周りには「きゃっきゃ」という文字と小さな花の絵が散らされていたかもしれない。
増「おれ…ふわふわしてるレベルでいったら小山のが全然ふわふわしてるよね?」
小「(笑)」
増「ふわふわしてるよね?」
小「うん、うん、ああそういうことね」
増「肌とか、」
小「まっすーは意外と、ワイルドだからね」
増「おれけっこう硬いよねしかもね」
小「硬いし、男っぽいよね?おれの方がちょっと女子て、女子的な…」
増「絶対毛穴の数とかおれのが多いもんね」
小「ああそうだねぇ」
(2015年10月21日放送より)
小「そうそうそうま稽古やってまして、ちょっと喉もこうかさつきながらの毎日を送っているわけですよ」
増「だからいま枯れてんだ?」
小「ちょっとね、だからこう、けっこう張る台詞が多かったりするんで」
増「うん、しょーがねえな!(鞄を開ける音)」
小「あ、持ってる?なんか、舐める的なもの」
増「うん(鞄を探る音)」
小「おいいじゃん!まじでちょうだい!まじで欲しいわ」
増「あげるわ」
小「あいいの?ありがとう(笑)」
(2015年9月2日放送より)
特にこの9月2日に放送された「ますださん、喉を気にするこやまさんに突然アメチャンあげるの回」は、男友達のようなラフさがありながら女子っぽさをも併せ持つ、Kラジ*3こやます回でも指折りの素晴らしい放送だった。小山さんと増田さんの関係がその一連の流れに端的に反映されているように感じる。
とにもかくにも、安定したトークの中にこうした女子会ちっくな展開が自然発生的に、あくまでなんでもないふうにさらりと差し込まれるのだ。流れるようなその振り幅もまた楽しく、こやます回の魅力のひとつである。
非常に主観的にたとえるならば、増田さんがゲストのときの「KちゃんNEWS」は粗めに焼いたシフォンケーキのようだなと、聴きながら思う。基本は少しのざらつきがありながら、しかし全体としては優しくふわふわとしていて繊細で、シンプルだけれど飽きがこない。特に手越さんゲストの回(後述)の次に増田さんが来ると、反動もあってかとても安心したりする。こやます回はどこかリスナーをほっとさせるものがある。
2.小山・手越 ~暗闇を駆けるジェットコースター~
小山・増田ペアとは打って変わり、こちらはまさに予測不能のアトラクション、放送事故すら起こしかける「危険が危ない」ペアである。その主な原因は言うまでもない、手越祐也という男の自由奔放さにあることは周知であろうし、ときにその暴走を、止めるどころかあえてのっかっていく小山慶一郎のノリ(の良さ)にあることも間違いない。ジェットコースターの中でも特に暗闇の中を走るもののように、レールの先が見えない、どこに連れて行かれるかわからないスリリングさは人々を楽しませると同時に、不安にもさせる。ラジオという可視化されないコンテンツではその感覚は特に顕著であるように思う。
小「(笑) 好きでしょっていうか、最近どうなんすか、一番好きな制服の形でいったら、たとえば上が何色で、下が何とかで」
手「まあ着てることのバランスも大事なんだけれども、そうだなあ…それこそ、某テーマパークとか行くとさ、制服…流行ってるじゃん、制服テーマパークがさ」
小「ああ!」
手「たまらんよね!」
小「たまらんのか!」
手「だからそのテーマパークをも楽しみに行けるし、そこにいる人をも楽しめる、おれにとってはダブルアトラクション!!」
小「(笑) なんで立ち上がるの(笑) スピーカーに手当たっちゃってるからそれもう、手の甲ぶつけっちゃってるから」
手「ごめんなさい(笑)」
(2015年2月25日放送より)
手「でサンがさ、アシタカ撃たれて、弱っちゃってさあ、シシ神の森でこう寝てて、あのビーフジャーキーみたいなやつをさ口にガッと噛んでさあ、噛んで口移ししたげる、あれスキ(ウィスパー)」
小「そこ!?」
手「サン、サンさーーん!!僕もお願いしまーーす!!待ってますサンさーーーん!!!」
小「サンさーんwwwwwwww」
手「サンサーン!ニーニー!イチイチ!ハイッ!!」
小・手「ははは!(笑)」
小「サンサーンニーニーイチイチ、ハイッ!wwwww」
手「(笑)」
小「あ~みんなすごいよ~」
手「待ってるんだけどね」
小「手越祐也は今日もハッピーだよみんな」
手「うん」
(2015年5月13日放送より)
小「やっぱねおっぱいへの憧れがねえ、僕男として強いのよ」
手「うん、じゃちょっちょっと」
小「いやおまえのおっぱい、そんなにきに、なん、膨らますなよ!」
手「さわっていいさわってさわって」
小「なんで(手「いいからさわってさわって」)おまえが手で膨らました、」
手「さわってみ?」
小「さ、…さわったけどなんだよ!!これなんなんだよ!!」
手「(笑)」
小「さわったけどなんなんだよ!」
手「どう?」
小「なんでおれはおまえの」
手「てごぱいどうてごぱい」
小「てごぱい、どうじゃねえなんなんだよ…手越みたいのがいっぱいいるんだこれ」
手「(笑)」
(2015年11月27日放送より)
もう意味がわからない。これはいったいなんのラジオか…?いや、そもそも果たしてラジオなのか…?ともすればそんな疑念すら抱かせかねないトーク(?)の進み方は、もはやある種のアトラクションとも言えるだろう。手越さんにとって制服ディズニーがダブルアトラクションならば我々リスナーにとってもこやてご回はアトラクションである。
しかし、手越さんがこうして自由にしゃべり振る舞うことができるのも、MCが小山さんだからであり、その甘え甘やかすような雰囲気は年の離れた兄弟のようで微笑ましくもある。こやます回のような「ほどよい距離感」にもとづいたバランスはないものの、ないからこそ、このふたりのやりとりもまた危なげなく成立していると思う。内容については危なげあるときも往々にしてあるが、それもそれでこやてご回でしか楽しめない魅力なのだ。リスナーを置いて行ったりかと思えば振り回したり、予想のできなさは一級で、知らず知らずそれを楽しみにしてしまっている自分に気づく。
そしてもうひとつ、毎回のようにジェットコースターラジオとなっているわけではないことも強調しておかなければならない。自由奔放やりたい放題に思える手越さんから思わぬ名言が生み出されるのもまた、「KちゃんNEWS」こやてご回の聴きどころである。ふとした瞬間にこぼれるそれらの言葉は普段とのギャップもあいまって、水面に小石を投じたような静かで大きなインパクトがある。
手「しおりに言いたいのはね、運命の歯車ってどこでどう交わるかわかんないってことをおれ言いたいわけ。おれだってもしかしたらジャニーズに入らずに別の道にいってたかもしんないし、でもおれからしたジャニーズに入ったの奇跡だしNEWSになったのも奇跡なわけよ、だからほんとにひとつ覚えといてほしいのは、今後おれとしおりちゃんが出会い、そしてつきあい、結婚する可能性がゼロパーじゃないことはお伝えしておきましょう」
(2015年8月12日放送より)
手「でも、や、その、たとえばその浮気?とかでもよく聞くじゃない、相手にわかったらそらダメだわ、相手を不愉快な思いさせるから。知らない幸せってたくさんあると思うんだよねおれ」
小「(笑) 名言(笑)」
手「ええ」
(中略)
手「やっぱ人を責めちゃダメよね」
小「(笑) あそうですか」
手「すぐ人のせいにとかするじゃん」
小「うんうん」
手「そ人のせいにしたり上司のせい、部下のせいとかするじゃん、やっぱ自分だよね」
小「結局は」
手「うん」
小「最終的には」
手「うん」
小「それ仕事も恋愛も言えると」
手「そうだね」
小「なにかあったときには自分に原因があるんじゃないか」
手「うんうんそうやって思うよおれは」
小「あそうですか」
手「うん、あんまり人のせいにしないかな」
小「…強いね~」
手「何やるにしても」
小「ま人のせいにしてもね結局良いことないですからねえ」
手「そうそうそうそうそう人離れてっちゃうからさ」
(2015年10月28日放送より)
つい最近新コーナーとして設立された「手越の運命の歯車」はそうした名言が生まれるコーナーかもしれないと、MCの小山さんは初回の感想として述べている。特に恋愛的なことについて、手越さんの与えるイメージからは少し離れた意外な意見が聴けるというのは彼のファンならもちろん、ファンのみならず貴重な機会と言えるのではないだろうか。手越祐也の手越祐也たる部分を垣間見たような感覚に陥り、この人は本当にすごい人だとしみじみ感じいる。
こやます回の振り幅が流れるように自然なものだとしたら、こやてご回は常に振り切っているだろう。左にギュイン、右にギュイン。全力で容赦なく見せられるそれらはリスナーにとって困惑させられるものでもあり、かと思えばふと立ち止まって思考の転換を迫られる。日本一、いや世界一おもしろいラジオとの呼び声高い*4「KちゃんNEWS」こやてご回は、確かに世界一おもしろいラジオだと自信をもって断じよう。
3.小山・加藤 ~ふたりの世界はふたりで回る~
こやます回は粗く焼いたシフォンケーキ、こやてご回はジェットコースターとたとえたが、こやしげ回は前者ふたつとはまったく違った様相を呈しており、私情だがわたし個人がこやしげのファンということもあって一言で説明するには難しい。思うに、小山さんがもっとも「小山慶一郎」としてトークしているのがこやしげ回ではないだろうか。シンメトリーとして、そして親友として、10年以上培ってきたふたりの関係性がダイレクトに反映されていて、改めて言うまでもないかもしれないが、そこでは彼らにしかできないトークが繰り広げられる。
増田さんがゲストのときはさりげない気遣いを発揮し、手越さんがゲストのときは暴走に困惑しながらもときにのっていく、そんな小山さんが唯一遠慮しない、適当な対応を見せるのが、しげさんがゲストのときだ。増田さんとの男友達同士のラフさとはまた異なる良い意味での適当さは、ふたりの間の気の置けなさを如実に表している。
加「う~~~ん、うん…どーなんだろ。でもまあいいよね、積極的な女の子は」
小「そんなに思ってくれてんだってことでやっぱね、意識すると思うんだよね」
加「するね、するする、するーわ」
小「でもほら、22年間いないからさあ、そのアプローチの仕方も」
加「てかしなきゃ可能性広がんないからね」
小「でましたよ」
加「そうだよ」
小「みなさんそうだよ」
加「ね、踏み出さないと、やっぱり一歩」
小「かっこいっす」
加「(笑) 雑、雑い」
(2015年3月11日放送より)
小「あれ?今日パソコン持たれてる」
加「この(仕事の)前ラジオだったんで」
小「あっラジオでも使ってる、えいまその新作が入ってるわけじゃないんだ」
加「まだ入ってないっすね」
小「ほんと?」
加「なんにも書いてないですいま」
小「なんか、書いたやつないの」
加「おまえ軽いな?軽いな」
小「書いたやつないの、なんか」
加「それは、きみあれだぞ、ちょっといまなんか軽くキャスター読んでくれよ原稿ってことだぞ」
小「(笑) やだな(加「やでしょ(笑)」)むかつくな」
(2015年7月10日放送より)
加「いなしてんじゃねえよ、そうねそうねじゃねえんだよ、いなすんじゃねえよ」
小「シゲアキ先生の人生の法則!」
加「おれのマッドマックスの話をいなすんじゃねえよ」
(2015年10月7日放送より)
雑と言ってもそれは確立された雑なのだ。雑であることを互いが互いに受け入れているような、それが当然として存在するような、こやしげがこやしげであるための必要十分条件のようななにかをそこに感じて、そのたびにこやしげはこやしげなんだと思わされる。もはやなにを言ってるのか自分でもよくわからないが、p→qとp←qの両方が成り立っているような感覚であると言えば、少しは伝わりやすくなるだろうか。 ならないだろうか。
そしてもちろんこれだけでは終わらない。さらなる魅力、聴きどころは、言うなれば彼らが「ふたりの世界」に突然入り込んでしまうところにこそある。特に注目すべきは最近始まった新コーナー「しげほめ」において、リスナーから送られてきた「しげほめ」メールに、小山さんが共感しながらもその上をいく加藤シゲアキカワイイエピソードを披露してくださることだろう。それはたとえば楽屋の中での出来事であったり、ステージ上でないオフのしげさんの姿であることも多い。我々ファンには知りえない情報を有り難く存じながらも「見せなさいよそれ!!」と激しい嫉妬にハンケチを噛んでしまいたくなる。完全にふたりの仲でしか伝わりきらない話なのに、それを嬉々としてラジオで放送するさまはまさにpならばqでありqならばpである。ご理解いただけるだろうか。
小山さんのしげほめの陰に隠れがち(?)だが、しげさんから小山さんへの発言もなかなかにすごい。「しげほめ」のたびに「こやほめもやろうよ」と言っていたり*5、小山さんのこととなると急にテンションを上げて*6みたり、とにかくわかりやすいほどわかりやすい。中には思わず「ラジオじゃ伝わらねーよ!!」と言いたくなってしまうような、まさに本人たちが純粋に楽しみたくてしているのではと、訝しんでしまうようなこともある。そうすると我々は困惑するよりほかに術がない。手越さんのジェットコースターはリスナーをものすごいスピードで振り回してついていけなくするが、こやしげ回のデレ合いはときにリスナーをアクリル板で隔離しているのではないかとすら思わされる。
加「だから、日記じゃないのそのノートは」
小「いや日記もあんだけど」
(中略)
加「今度持ってきて!」
小「あとテレビ見てて…」
加「今度のスペシャルウィークそれやろ!」
小「いやいや無理無理無理!まじで!」
加「だから持ってきて!最近じゃん、わりと、ここ数か月のじゃん」
小「いやまじで、おれお母ちゃんが来ても見られたくないやつだから!ほんとに」
加「見ちゃいけないページは見ないから!」
小「いやほとんど見ちゃいけないと思う」
加「『ころころ(強力)』は見よ?」
小「(笑)」
加「1回、どんな感じの、ノートに対してどの字の大きさで(小「やだよー!」)、ノートに対してどの字の大きさで書いてるのか見たいじゃん!」
小「やだよ…言わなきゃよかった(笑)」
(2015年3月4日放送より)
加「スポーツ…あ!連れてってよ!今年は!野球!!」
小「ああいいよいいよ、行こうよ、でもさ」
加「なんか低いわテンション」
小「いやいや!」
加「去年口約束で終わってさ!」
小「いやいや全然行けるじゃんだって」
加「行けないじゃん!行けなかったじゃん去年!」
小「やっぱりこうやっぱ、」
加「アタシを連れてってよ!アタシをグラウンドに…(笑)」
小「(笑)」
加「アタシを球場に連れてってよ(笑)」
小「(笑) あなたじゃあ、あなた、球場連れてくわアタシが」
加「連れてきなさいよ!」
小「うん(笑)」
(2015年6月4日放送より)
小「いやわかんないたぶん幹事おれ、うん。で、まあ段取って、シゲも呼ばれてるから」
加「そうなんだよね?おれ急に呼ばれてんだよねそれ」
小「でもシゲありきみたいになってるよいま、けっこう」
加「シゲありきなの?」
小「うん」
加「シゲはなにをすればいいの、シゲの役割はだっておれ遅れてくんだよ、仕事、おれ別にまた仕事あるから」
小「いや、おれの、近くで飲んでればいいよ(イケボ)」
加「ははは!(笑) しょぉがねえな親友の頼みなら仕方がねーわ」
(2015年7月10日放送より)
加「でもけっこう、あっ小山さんなんか、十代から知っててね、あやっぱ昔だったらこう、上脱いだりしてもねなんかもう、はいはい若造がって感じだったけど、やっぱ31ともなるとこれもう大人の色気出ましたね~って思ったりした」
小「なるほど」
加「うん」
小「やっぱでもそれはもう…おれはね、シゲがね、左利きだね、左利きで、自分の名前書いてるときが好き」
加「そんなときないじゃん!」
小「いやあるの」
加「あっお礼状とか?」
小「お礼状とか、あとサイン、自分の本にサインしてるときとか」
加「すげーピンポイント、すげーオフじゃん!オン褒めてよオン!」
小「みんな、みんなあんとき見てほしいわ~(加「オフじゃん!」)あのシゲかっこいいんだよぉ」
***
加「思わない?だからおれこの前フェルメールだなって思ったぐらいなんだから、鏡見て」
小「ほんっとイイあれ、綺麗だもん。シゲのチュムチュム美人」
小・加「あはは!(笑)」
加「美人だった?よかったよかった」
小「美人だったな」
(2015年7月16日放送より)
加「だから小山が、たとえば現場なんかで、一回共演したことあるさ、人んとこ行ってみ?おれ、ふたりで仕事してて」
小「うん」
加「ちょーアウェイだよ」
小「(笑)」
加「そういうのき、そういうの考えてしてね、『NEWSな2人』とかで、たとえばゲストがね、小山さんの仲良い人来ても、おれを一人にしないで」
小・加「(笑)」
***
加「うん、でも、おれたとえばね、気持ち、8・2で寿司焼き肉だとすんじゃん」
小「うん」
加「でも小山さんが」
小「8はなに?それ寿司なの」
加「寿司」
小「うん」
加「2割、ま焼き肉でもいいかな。で小山さんが、なんだろ、鉄板焼き!って言ったらおれ鉄板焼きにするよ?」
小「え、それ8・2の中になくてもいいの?」
加「そう」
小「それは、それなに」
加「おれよりも小山が楽しんでくれたらいいじゃん」
小「(笑) いやさあの、」
加「(笑) おれはだからけ、結論ね?自分が食べたいものあるけど、おれもっと言えば小山が食べたいものが食べたい」
小「でもさ、シゲってさ食べたあとにさ言うじゃん、『いやほんとは寿司食いたかったけど』」
加「あはは!(笑)」
(2015年10月7日放送より)
加「ほくろ、ほくろ増えてんだけど!!おれこんなほくろあった!?」
小「北斗七星じゃんいちにいさんしい(加「いやもっとあるよ」)ごぉろくなな、あ、あるわ、ちょっとちょ、赤ペンで結んでみよ」
加「やだやだやだ!!!(小「なんで?ねえ?」)やだよ!!」
小「ねえ?一回北斗七星(加「ふざけんなよ!」)、いやまるでって言うから一回」
加「やだよ!!」
小「いやいや落ちるから!」
加「使わねーじゃん!(小「いっかい、」)ラジオだよこれ!」
小「いーから!(笑)」
(2015年11月12日放送より)
引用が多くて大変申し訳ない。ただ、これに関してはうんぬんかんぬんよりも実際の雰囲気を感じ取ってもらうしかないのだ。これだけ引用していても泣く泣くカットした会話も多数あるので、いかに毎回の放送がこんな調子かというのがわずかでも伝わればという願いを込める。
ほかにも、なぜか突然しりとりが始まったり、なぜか突然鍋料理の名前を挙げていき言えなくなった方が負けというゲームが始まったり、「きみたちたのしそうだね…」と聴きながら菩薩の顔になる内容であることもしばしばで、それがあまりにも楽しそうなものだから、綿あめのようなふわふわしたなにかでそっとくるんでしまいたくなるのだ。我々リスナーは…わたしは、その綿あめ越しにそっと会話を聴くことができるのが、Kラジこやしげ回最大の魅力であると確信している。
さて、最後にもうひとつ、 ここ最近で非常に印象的だった放送を紹介したい。適当さだの綿あめだのpならばqだの諸々と不明なことを言ってしまったが、そういった個人的な主観はとりあえず置いておこう。このふたりの会話にその答えがすべて込められているのではないかと、個人的には思っている。
小「おれは、こういうのを聞いていて*7泣けないとき、おれ心ちょっと、なんか…」
加「汚れてんのかなって?」
小「あれなのかなと」
加「そもそもさ、その、ごめんねなんか、心汚れてんのかなってことはさ自分はピュアだという前提があるわけじゃない」
小「えっ私ピュアだと思ってるよ、もう、心から」
加「ピュアじゃないじゃん(小「(笑)」)ピュアな人なんてさ、いるの?心汚れてるって、その汚れってなに?」
小「いやでもね、じゃあひとつ言うと、『ベイマックス』は泣けた人?」
加「泣けたよ」
小「じゃん、でおれすっごいその前知識で『ベイマックス』が泣ける泣けるっていうので観たときに、泣けなかったんだよ」
加「うん、別にいいじゃん」
小「でもすっごい感動したの」
加「うん」
小「でもそのなんか、それが泣けなくて、あおれなんか、『ベイマックス』の世界で泣けないおれやばいと思って」
加「なんで?全然大丈夫だよ、そんなの気にしてんの、意味ないよ。だいじょぶだよ」
小「そうですか…『海猿』は嗚咽しました」
加「あそう…(笑) その具体的なの出されてもあれですけど」
小「『海猿』はもう嗚咽、男の友情みたいなやつ」
加「そうなるとドキュメンタリーの方がいいしスポーツ観て感動する方がいいってことになっちゃうじゃない」
小「まそうねえ」
加「別に涙なんてね、そんなたいした価値なにぁよ、涙に価値なんか」
小「でもすぐ泣くんでしょ?(笑)」
加「すぐ泣く、だから別におれ泣いてるからピュアとか思わないもん」
(2015年8月19日放送より)
こやしげという宇宙の一端にふれたような、そんな感覚すら呼び覚まされそうである。「KちゃんNEWS」の内包する宇宙は広い。
***
以上、ラジオ「KちゃんNEWS」について、各メンバーごとの特色をわたしの主観から褒めつつ、こんなにおもしろいよけいちゃんにゅーす!!というピュアな気持ちで懸命にレコメンドした。途中レコメンドから逸れた感がしなくもないが、まあいい。「KちゃんNEWS」を聴くまでラジオなど一切合切聴くことのなかったわたしが、いまでは毎週これを聴かないと一週間を乗りきれない。NEWSが好きだからということももちろんあるが、なにより内容が楽しいから毎週毎週飽くことなく聴けるのだ。そのことが少しでも表現できていたならばこれにまさる幸いはない。
最後に、NEWSのことをあまり知らない方にもぜひ一度聴いてみてほしい、「世界一おもしろいラジオ」たる「KちゃんNEWS」。すでに聴いてるよという方にも、聴いたことないよという方にも、ちょっと聴いてみたいよという方にも、朗報です。
2015年12月29日24:00~のKちゃんNEWSは!なんと!NEWS4人での放送!しかも!生放送!!ぜひこの機会をお見逃しなく!!
お相手は「ほんのあとちょっと」のはんりでした。それではまた来週!