It is raining but

『いきなり直接身体の中に手が入ってきて心臓にタッチされた感覚』

 

2015年6月21日放送●SORASHIGE BOOK

 

・オープニング

「今日はほとんど『傘をもたない蟻たちは』の話で終わるかなと思いますが」

〈『傘をもたない蟻たちは』、ざらつきのある心をひっかかれるような表現が印象に残る短編集でした。どの作品もただ楽しいだけではなく、読んでいる間は何とも言えない胸苦しさを襲われました。次回作の話をすると部長の苦笑いが聞こえてきそうですが(「(笑)」)、今後ますますの活躍を祈っています〉

「ありがたいですね~」

〈読書好きの友達に短編だからすぐに読めるよと勧めたら、部長の他の本も貸して!と言われました。カサアリにどはまりしたそうです。これからもどんどん布教していきます〉

今回の短編集はどれもざらつきやインパクトのある作品を目指して書き続けているので、内容的にはハードなつもりだけれどひとつひとつが短いという点では読みやすいと思う。いままで部長の本を読んだことがない人や本を読むのがあまり得意じゃない人でも少しずつ読めるのでは。「こういった話を今日は少しずつしていきたいと思います」

 

・音楽部

ジョルジョ・モロダー「Deja Vu」

部長いわく、「歌はさておき、すごい顔隠す人(笑)」だそうなので、気になる人はいったいどんなふうに隠しているか、調べてみると良いとのこと(笑)

この夏の洋楽界はこれで盛り上がるのではないか、2015年を代表にする曲になるのでは、とにらむ。

 

・おたより

『傘をもたない蟻たちは』の感想をもう少し。

〈恥ずかしながらファン歴が浅く、いままで部長の作品を読んだことがなかったので今回の短編集を楽しみにしていました。初めて読んだのは『にべもなく、よるべもなく』で、主人公の葛藤や苦しみがリアルで胸がいっぱいになり、部長の作る小説の世界はこんなにも深くおもしろいのだと知りました。これから全作品を読みます〉

「あら!嬉しいですね」こうやって『傘をもたない蟻たちは』が初めて読む部長の作品だという人がもっと増えていってくれると嬉しい。

 

〈最新作から読みました(「『にべもなく、よるべもなく』のことですね」)。主人公を自己中で最低だ!と思いながらもかわいそうでいとしく感じるのは、彼が正面から悩みに向き合っているからか、作者が愛情を注いでいるからでしょうか。レザーにカビの経験が自分にもありますが思い出したくないので、主人公が臭いを思い出すたびにつらくなりました。ちょっと恨みます〉

「ははは、失礼しました(笑)」特に社会が若いときは小さいので、そのその小さなコミュニティの中で思うことは受け止めきれないからこそ理解できない。けれどそんな自分が正しいのか相手が正しいのか葛藤する、というのが今回描きたかった世界だった。言葉をもっていない中学生が主人公だからこそ、どういうふうに言葉を使ってたどり着くのか、自分の言葉を使って整理しきれない…そんなことを書きながら考えていた。

 

〈『イガヌの雨』を読んでいて想像したイガヌは足が2本のものでしたが、今朝の番組(「これはおそらくZIP!ですね」)でシゲが書いたイガヌは足が4本で驚きました。シゲはどんなふうに想像をふくらませてイガヌを書いたのですか?〉

そういうふうに解釈されたり想像を制限してしまったりするのはまずいと思ったので、本当はイガヌの絵を出したくなかったと語る部長。部長がノートに描いたイガヌはイガヌを考えている途中のイガヌで、こんな感じなら宇宙人ぽいかなといろいろ考えながら編集の人と落書き程度に描いたものらしく、あれが「イガヌ」ではないとのこと。作中で「足が2本しかない」と書いているからその通りで、遠くから降ってくるときのシルエットを見るとピースマークに似ているという描写もあったし、「ピースマークに似てるんだから手ないでしょ!下肢って言ってんだから」

正直最初はイガヌについて、味と姿をまったく書かないでいこう、ただただ「存在」として表現することは可能なのか?と思っていたそう。しかしいろんな意見を聞いているうちに、少し説明があった方が想像しやすいというのになるほどと思い、今回は足が2本、目が3つというところを書いた。「だからあれはけしてイガヌの正解ではございません!」

 

〈WSの宣伝に『イガヌの雨』が使われることが多いのはなぜ?〉

短編集なので6本の中からどれを選ぶかは先方が決めることで、部長が「『イガヌの雨』を紹介してください」と言ったわけではないそう。テレビ局サイドの方に『イガヌの雨』がおもしろかったと言われる率が高かったので、テレビマンに受けるということなのかな、と推察する部長。男性は『Undress』が好きだったりファンの間でには『インターセプト』が人気だったり、本好きの人は『染色』や『にべもなく、よるべもなく』が好き、というのが部長の印象。『イガヌの雨』が重なったのはたまたまで、世界や設定が説明しやすいということもあるのかもしれない。

 

〈部長は『キャッチャー・イン・ザ・ライ』と『ヘヴン』はいつごろ読んだ?〉

キャッチャー・イン・ザ・ライ』『ヘヴン』ともに読んだのはたち過ぎで、それぞれ単行本が出てすぐ、刊行されてすぐだった。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の話は部長の人生の一冊ということでシゲ部でもいっぱい話しているけれど、読んでいて「これはおれだな!」と思った特別な一作。「いきなり直接身体の中に手が入ってきて心臓にタッチされた感覚」だったそう。『ヘヴン』は最初読んだときはあまりぴんとこず、ふ~んという感じだった。作者の川上未映子さんの作品は他にもいくつか読んでいて好きな作品もたくさんあるけれど、『ヘヴン』はすぐにぴんとこず、ただ、ときどき主人公やいろんなシーンのことを思い出していた。そこに描かれているのは14歳の子どもたちの世界なので、同じく14歳の投稿者さんも全然読めると断言する部長。斜視の主人公「ぼく」と貧乏で不潔だと言われているコジマという女の子を基にした、いじめられっ子の話というと少し雑だけれどいじめを題材にして善悪の根源を問う作品。

作者の川上さんは哲学が好きと公言しているということで、哲学のにおいを中学のいじめに落とし込んだ印象の作品。部長が中学生や小学生など、子どもを書くときは常にこの『ヘヴン』を周りに置いているそう。「たぶん文章のにおいとかだと思うんだけど」

たとえば『にべもなく、よるべもなく』を執筆するときも何回かぱらぱらめくっており、どのシーンとかではなくなんとなくページをめくるんだとか。『Burn.』執筆時も、主人公が教室で暴れるシーンなどでは『ヘヴン』を持っていた。いじめや子どもを描くときになぜか常に出してしまい、そうして毎回毎回引っ張り出しているうちに「やっぱり好きなのかな」と思い始めたそう。年々好きになっていくので特別な作品、じわじわ好きになった一冊。

 

〈雑誌の掲載順と単行本の収録順が違うのはなぜ?〉

「単純に言うと執筆順です」

 

〈『染色』で出てくるトマトと卵の中華炒めっておいしい?トマト炒めたらべちょべちょにならないのかなと思いました〉

部長はこのトマトと卵の中華炒めに一時期すごいはまって作っていて、めちゃめちゃうまいしごはんにも合うし、中国では愛されている料理なんだとか。部長がたまたま家に余っていた食材がトマトと卵しかなく、これでなにか作れないかと調べたら見つけたんだそう。「すごい簡単だから、レシピ言うわ」

トマトはざっくり斜めに切って、卵は顆粒状の鶏がらスープのもとと一緒にといて、油を引いてなんとなく半熟ぐらいまで炒める。卵をいったん上げてからごま油でトマトを炒めて、少し火が通って皮が少しめくれてきたかな程度で再び卵を投入し塩胡椒で味をととのえるだけ。「簡単なのにめっちゃうまい」

トマトがべちょべちょになる前に上げるから心配はなく、トマトに片栗粉をまぶして炒めるのもOK。ごはんにかけて食べるとめっちゃうまいのでおすすめ。料理が出てくるシーンは一回作ったり当時はまっていたりするので、もしかしたらそのうち小説の中にホワイトオムレツが出てくるかも…?

まだ機会があればおもしろい感想を読んでいきたいので、『傘をもたない蟻たちは』読んでくれたら嬉しい。

 

○主観

なんかわからないけど今日のシゲ部聴きながらすごい泣きそうになってた。みんなしげさんのことが大好きでこうやって作品読んで感想送って、それに対してしげさんがレスポンスする、ってよく考えたらこれ以上の幸せってないなっていうぐらい幸せなことだよね。好き。しげ好き。しげのこと好きでよかった。

トマトと卵の中華炒め、実家にいたころ親がよく作ってたけどトマト嫌いからしたら見るだけで気持ち悪くなっちゃう地獄のメニューだから、部長にいくらおいしいとすすめられても作る気も食べる気が起きなくて悲しい…悲しいから今度トマトと卵の中華炒め(トマト抜き)作る…トマトダメゼッタイ。

「メガロマニア」めっちゃかっこいいな~ほんと。贔屓目も当然あるけどNEWSさんのカップリングどれも良い曲で大好きだから今回のカップリングもすごく期待してる。「日はまた昇る」が「weeeek」系の応援ソングと聞いて、最初に聴いたときに泣いてしまいそうなおそれがあることだけがあれだけど。発売まであとちょっと楽しみ。