心理的五分割×5

『影でしている努力はわかってもらわない方がかっこいい』

 

2015年8月16日放送●SORASHIGE BOOK

 

・オープニング

〈J-ROCKが大好きでもともとジャニーズにはあまり興味がありませんでしたが、部長をきっかけにNEWSのファンになりました。部長は実際にライブハウスに行ったことはありますか?また、このバンドのライブはかっこいい!というおすすめのロックバンドはありますか?〉

ライブについて、特に夏はベストシーズンだし本当に行かなきゃダメだ、行きたいと思うものの、つい出不精で他を優先してしまいなかなか行けない。そもそもライブは一人で行くのかな、と疑問に思っているようすの部長(でも星野源さんのライブには一人で行った部長)。行くとしたら男友達とフェスとかに行きたいのだけれど、周りの男友達に音楽の趣味が合う人がいないので友達探しから始めなければいけない。ライブは好きだしなるべく行きたいと思っているので、よかったものがあれば逆に教えてほしいとのこと。J-ROCKも好きだけれどロックに限らずジャンルにこだわらず好きなので、ライブに行ったら話していきたい。

前も言ったかもしれないけれどレキシのライブに去年行こうと思ったが行けず、年末にレキシとオシャレキシの上原ひろみさんというピアニストが一緒にライブをしていて、行きたかったけれど行けなかった。ケーブルテレビで放送していて、あまりにも観たかったのでケーブルテレビに入ったそう。「行けないときは仕方ない!仕方ないんだよ!ライブの方が絶対にいい、けど仕方なく映像で観るということに」

今日はかけないけれど最近は「水曜日のカンパネラ」という方にはまっていて、その「桃太郎」という曲の「きっびだーん!きびきびだーん!」という部分が頭に残っている。「ロックじゃないけれどもしよかったら聴いてみてください(笑)」

 

・音楽部

GOMESS「人間失格

J-ROCKの話を求めてると思うけれど、ちょっとした(「ちょっとしたっていうか、ちょっとしてないね」)先週に引き続きヒップホップ。個人的に自閉症について、どういった症状があるか等を調べているうちにとあるアーティストと出会い、それがラッパーのGOMESSさん。彼自身自閉症のヒップホップラッパーで、彼の歌を聴いてぐっと心をつかまれ、泣きそうになった。GOMESSさんは高校生ラップ選手権で準優勝し注目されていて、CDもリリースされている。

今回かける「人間失格」はタイトルからもわかるようにレッテルを貼られてきたような自分の人生を歌っている。精神病棟で自閉症だと言われ、自分は何ものなのかと悩んだり、過酷な運命と闘っていくところをヒップホップにのせている。いじめにもあって小中学校には行けず、話によると高校生になるまでトイレも一人で行けなかったそうで、そんな彼が中学2年生のとき偶然ヒップホップに出会って人生が変わったという。そのアーティストがライムスター。

ヒップホップラッパーには上手い人もかっこいい人もいっぱいいるけれど、GOMESSさんは背負っているものや生きてきた人生を言葉にのせて歌う。その悲痛な叫びにがっと胸をつかまれてしまった。もちろん自分は彼のようなつらい体験や思いはしていないけれど、ちっちゃいときに感じた孤独やそういうものを入り口にしてすごく共感できる。感動したし、GOMESSさんしか歌えない歌が絶対にある。他の曲も素晴らしいけれどこの曲はびっくりしたのでぜひ聴いてほしい。

 

・おたより

 夏だし読書の話がたくさんきてるのでその紹介から。

〈トム・レオポルドの『君がそこにいるように』読みました。あとがきで『キャッチャー・イン・ザ・ライ』についてふれていましたが、個人的には『君がそこにいるように』の方が好きですが、この2作のようにセンシティブな少年が繰り広げる作品は他にないですか?〉

このラジオでも以前紹介した『君がそこにいるように』は部長の友人が一番好きな小説で夏に読むのにはぴったり。よく夏におすすめの本は?と聞かれるけれど、『夏への扉』というSFをよく紹介している。通年本を読んでいるから一冊を勧めるのがけっこう難しく、常に最近読んでる本を紹介するしかない。部長はいま中村文則さんの作品をデビュー作から読んでいて、テレビでも紹介されて話題になっていたけれど、いきなり『教団X』からいくのもあれなので『銃』『土の中の子供』を読んだ。どちらもおすすめで、一人称で書かれているので読んでいてぐっとその世界にのめり込むことができる。主人公の迷いや葛藤、不思議と湧き上がる思いに共感できるし、引き込まれる。印象として、ドストエフスキー作品は『罪と罰』しか読んでいないけれど、本人が影響を受けたと言うようにドストエフスキーに似ている。「おすすめ、で、ございます」

部長は海外文学の方が好きなようで、よく言っているけれど『グレート・ギャツビー』海外文学の名作は読むとやはりおもしろい。おすすめは、と聞かれてぱっと出てくればいいんだけど、忘れてしまうので一回家の本棚を見て「これおもしろいよ!」って言いたい。最近は4冊くらい一気に買った。「読書熱上がってるところなのでおもしろい本あったら逆に教えてほしかったりしますけども」

 

〈『インサイド・ヘッド』観ました。良い意味で期待を裏切られました。意外な結末で涙あり笑いあり、子どもと大人で解釈が出る作品だと思うのでそれもおもしろかったです〉

「これヘンな映画で!」ある程度許容しなければならないけれど、やっぱり人の感情はヨロコビ・カナシミ・イカリ・ムカムカ・ビビリの5つには分けられない。けれど子どもだから(「大人もそうなってんだけど」)ちょっとわかりやすくなっていたりして、話としても「そういうことなのかな」とこっちも受け入れつつ観ていると本当におもしろい。主人公はライリーという女の子、ではなくヨロコビという感情で、最終的には…「最終的には言っちゃダメだねネタバレしちゃう、危ない危ない(笑)」

この5つじゃ分けられないし、ヨロコビやカナシミは完全に分裂しているのか?ヨロコビという喜びに悲しみと喜びがある、ヨロコビという感情の中にまた感情がある。擬人化すると5つの感情の中にまたそれぞれの感情があることになるのでけっこう複雑で、それを考えながら観たとしても実験としてすごくおもしろい。心理現象のひとつにイマジナリーフレンドという、子どもが自分の想像で作る友達があり、映画でもよく描かれているそう。そういった心理現象は大人になるにつれ薄れていくけれども、それをエンターテイメントとしてファンタジックに描いているところはおもしろかった。

ただ部長としては難しいなと思ったそう。どういうふうに、とかそういうのは考えちゃいけないかもしれないけれど、感情に感情があるからややこしい。多層構造で考え始めたら映画に追いつけないからあとで考えようと思ったものの、あとで考えてもやっぱりわからない。部長的に『インサイド・ヘッド』は話したい系の映画で、『マッドマックス』は「ここおもしろかったよね!」「あのキャラクターのあそこが!」と言いたいけれど、こちらは「あれはどうなってんだろうね?」みたいな会話がしたい。「ややこしいなと部長は思ったけれどだからこそおもしろかったとのこと、「考えてんのが楽しかった」

 

〈中3の受験生です。吹奏楽部所属なのですが、運動部の男子に「吹奏楽部はクーラーの効いた部屋で楽器吹いてるだけだから楽だよな!」とバカにされたことがあります。吹奏楽部だって家で腹筋したり陰で努力してるのに…落ち込んでる私を励ましてください〉

「いやもう気にしなくていいですよそんなね」逆に「おまえはバカみたいに走り回って!」って言えばいい、と冗談で言いつつ(「そんなこと思ってないけど」)、そういうやりとりが中3っぽい、と部長。「影でしている努力はわかってもらわない方がかっこいい」

結果を出してかっこいい演奏をする方がいい。中3の夏は1回しかないので部活も頑張ってほしいなと思います!とエールを送る部長だった。

 

○主観

自閉症について調べてるってなんだろう?次の小説なのかそれとも違うなにかなのか…なんにせよちょっと気になるので追い追い詳しく教えてもらえるときがきたらいいな。

『インサイド・ヘッド』観てないけれど、広告とか予告とか見かけるたびに、ヨロコビという感情の中に喜び以外の感情があったりするのはへんじゃないだろうか?と思ってたからやっぱりそういうこと考えるよねって部長の言ってる子とすごいわかる。おかしいというより考えれば考えるほど泥沼にはまっていく感じ。観てないけど。観た人の感想がどれもよかった!だから気にはなってるんだけど、どうなんだろう。さりげにネタバレしかける部長がかわいかった。